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40の企業・団体が利害を越えて技術を投入――グリーン東大工学部プロジェクト2012年までに消費電力の15%削減を目指す
●東京大学の本郷キャンパス
東京大学が主導する省エネルギープロジェクトが、新しい技術やノウハウを生み出す実験場になっている。利害関係を超えて40の企業・団体が集結。メーカーごとにプロトコルや接続端子の仕様が異なる空調機を一元管理する、光ファイバを用いて効率的に温度を測定するといった世界初の取り組みを実施中だ。 2009年4月20日の夕方、東京都文京区にある東京大学キャンパスに十数人の背広姿の一団が現れた。次々と入っていった「新2号館」で開かれる「グリーン東大工学部プロジェクト」の会合に参加するためだ。彼らは、電機、ネットワーク機器、ビル設備といったメーカーの技術者やシステムインテグレータのSE、商社マンなどである。 同プロジェクトのテーマは「ITを利用した東大の省電力化」だ。東大は2012年までに消費電力の15%削減を目指している。その切り札として2008年6月にこのプロジェクトを立ち上げ、企業や団体に参加を持ちかけた。新2号館を実験場に省電力につながる技術を開発し、ノウハウを蓄積する。それらを全学に水平展開する計画だ。 参加しているのは、4月末時点で27の企業と、東大を含めた13の団体・教育機関(表1)。同じ市場で競合する企業も名を連ねる。 表1●参加する企業と団体
冒頭の会合は、1年目の活動を総括するものである。この1年で、新2号館における空調や照明、電化製品の電力利用実態を把握できるようになった。機器の種類やメーカーの壁を乗り越えて、一つのシステムで稼働状況の把握や遠隔制御を可能にした。 グループウエアと照明を連動させる仕組みや、光ファイバを使ってサーバー室の温度を測る技術なども実現した。特に後者は、「世界でもほかに例がない」とプロジェクトを取りまとめた東京大学工学部の江崎浩教授は語る。以下、プロジェクトでの試みや成果を紹介しよう。
仕様を開示させIPでデータ収集ベースとなるアプローチは、すべての機器をIPネットワークで接続するというもの。パソコンやサーバーなどのIT機器はもちろん、空調機や照明といったビル設備、テレビや冷蔵庫などキャンパス内で電気を使うものすべてを対象とする(図1)。その上で消費電力に関するデータを収集し、見える化。必要に応じて機器を制御して省電力につなげる。 オフィスビルの空調機や照明は、専用装置で制御するのが一般的だ。ネット接続が可能な制御装置を備えるビルも増えているが、それでもメーカーによってプロトコルやデータ形式が異なる。 例えば三菱電機の空調機は「oBIX」と呼ばれるプロトコルを用いる。oBIXは、ビル管理システム(BMS)と情報システムを連携させるためのもので、国際標準化団体「OASIS」が策定した。一方で三菱重工の空調機はISOで標準化された「BACnet」を採用している。空調の制御装置とパソコンを接続する端子もメーカーによって異なる。一つのシステムで複数メーカーの空調機を管理することは困難なのだ。 そこでプロジェクトでは、各メーカーに自社製品のプロトコルと接続端子の仕様を開示してもらった。その上でIPネットワークに接続するゲートウエイやプロトコルを変換するゲートウエイを開発。空調機のリアルタイムの稼働状況をパソコンから把握できるようにした。電源のオン・オフといった制御も可能だ。各種の情報は、プロジェクトで考案したXML形式のデータでデータベースに送り、保存している。 空調機メーカーからすれば、この仕組みによってどの空調機も同じように管理できるため、顧客の囲い込みがしづらくなる。「ビジネス上の利害よりも新技術への取り組みを優先してくれた」と、江崎教授はメーカーに感謝する。
>>電力線通信で電化製品と接続
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