「業務で扱う情報は処理を進めていくうちにどのような状態を取り得るのか」「処理をするとどの情報のどの状態に影響が及ぶか」といったことに注目すると仕様の抜けを防げる。こうしたコツを教えてくれたのは,ISPで提供するサービス商品の管理システムを開発している,NECビッグローブの窪智紀さん(サービス開発本部)と近藤正史さん(同)だ。

 窪さんと近藤さんは,業務で扱っている情報の状態をあらかじめ「状態遷移図」という図にまとめている。状態遷移図には「会員」「商品契約」「商品」といった,ISPサービスの管理に必要な情報の状態がまとめられている。例えば商品という情報には,有効と無効の状態があり,有効から無効に状態が変わることや,無効から有効に状態が変わることなどが図に示されている。

 ユーザーから要望を受けたとき,「状態遷移図を見ればどの情報のどの状態に影響するかが分かり,ユーザーに確認すべき内容を明らかにできる」と窪さんは話す。例えば「業務のこの段階で,ある商品を無効にしたい」というユーザーからの要望に対しては「商品が契約の状態にある場合,解約してよいですか」「休会している会員が商品を契約していたらどうしますか」といった詰めの質問を思いつくという(図1)。これが仕様の抜けの防止に役立っている。

図1●状態の変化に注目して聞く例<br>NECビッグローブの窪智紀さんと近藤正史さんは,情報の状態に注目して質問している。情報の状態は,あらかじめ状態遷移図にまとめておき,質問すべきポイントを見極めている
図1●状態の変化に注目して聞く例
NECビッグローブの窪智紀さんと近藤正史さんは,情報の状態に注目して質問している。情報の状態は,あらかじめ状態遷移図にまとめておき,質問すべきポイントを見極めている
[画像のクリックで拡大表示]