|
必聴講座ご紹介 ビッグデータ EXPO 2012春 日本マイクロソフト ビッグデータ EXPO 2012春 NEC Cloud Days Osaka 2012 セールスフォース・ドットコム |
第24回 『ハリポタ』の森と日本の森世にヒット商品は多々あれど、これはともかくすごい。 昨年、売り上げ部数180万部と日本国内でナンバーワン、世界市場においてシリーズ全体の売り上げが4億部を超えそう、と聞けばピンと来る人も多いだろう。 ともかく『ハリー・ポッター』は爆発的である。1997年に発売されるやベストセラーとなり、2001年には総売り上げ部数1億、第6巻の『ハリー・ポッターと謎のプリンス』までで64カ国語に訳され、約200カ国で出版。売り上げ数は約3億2500万部、昨年出た最終巻となる第7巻『ハリー・ポッターと死の秘宝』は米国では発売から一両日中に830万部、英国でも270万部を売り上げ、93カ国で発売された。 ローマ法王庁が、魔法を肯定していると批判するなど政治的な話題まで提供している。米国の某教会では、今時珍しい焚書にもあっている。保守的なイスラム教からも批判が出ている。異教徒の立場で言わせてもらえれば、もっとアニミズム的におおらかに見るべきだと思えるのだが。 ちなみに熱狂的な『ハリー・ポッター』ファンをポッタリアンと呼ぶそうである。友人にもポッタリアンがおり、最新刊が発売されることを知ると、単に予約を入れておくのみならず、その日に休暇を取ることを計画し、わざわざ都内の某書店が開店するのを並んで待って購入し、その日のうちに読み終えるという。
西洋では“禁じられた森”として描かれるこの『ハリー・ポッター』シリーズだけでなく、かつて少年時代に親しんだ『ナルニア国ものがたり』や『指輪物語』が次々に映画化されている。挿絵と自分自身の想像と映像とが比較対照できるのは楽しいことであるが、特に森の風景は興味深いものがある。欧州文学では森の風景がたびたび描かれているが、『ハリー・ポッター』シリーズでも『ナルニア国』や『ホビットの冒険』でも、森は重要な意味を持っている。 『ハリー・ポッター』では、主人公のポッターが在籍している魔法使い学校が舞台となることが多いのだが、その学校に隣接して「禁じられた森」が広がっている。昼なお暗く、果てしない森の中には、えたいが知れない化け物が潜むとされ、生徒たちも立ち入り禁止となっている。各巻で、例えば魔法使いのボルデーモートに取り憑かれたクィレル教授が、ユニコーンの血をすすっていたり、馬車ほどもある巨大な毒グモ・アラゴグが住んでいたり、狼男と化したルーピン教授が逃げ込んだり、友人のハグリットが密かに巨人の弟・グロウヴを育てていたりと、実に多くの怪物が潜み登場する。 『ホビットの冒険』では「闇の森」が登場している。そこも木々が生い茂り、日光がほとんど差し込まない。やはり巨大で危険なクモが巣くっている。森の深さはシーザー(カエサル)が『ガリア戦記』で記述した森林を彷彿させるし、北欧神話に登場するミュルクヴィズの影響を色濃く残しているようにも見える。『ホビットの冒険』の続編として始まった『指輪物語』は「ロード・オブ・ザ・リング」として映画化されたが、映像のかなりおどろおどろしい暗い森の中の風景が見られる。 『ハリー・ポッター』でも『ホビット』でも、森の風景を読みながら思い出されるのは、グリムの童話の森である。グリム兄弟が集めた童話の中で、森の中には赤い眼の魔女がお菓子の家でヘンゼルとグレーテルを食べようとしたり、おばあさんに化けたオオカミが赤ずきんちゃんを食べようとして待ち構えていたりしている。あるいは、きこりに悪意を抱いた老樹の霊が、配下の獣に命じてチルチルとミチルを襲わせた『青い鳥』に出てくる「夜の森」のイメージである。
>>反乱者たちは森に棲む
連載新着連載目次へ >>
|