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日経コンピュータ

第65回 幻滅期を脱したSOA

2009/06/10
出典:日経コンピュータ 2009年5月27日号  p.128
(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)

by Gartner
ジェス・トンプソン リサーチVP
飯島 公彦 リサーチ ディレクター

 SOA(サービス指向アーキテクチャ)は簡単ではない。いくつもの成功例があるにもかかわらず、多くの企業がSOAに挑戦しては失敗した。

 SOAの時代は終わったのか――。景気が後退期に入ると、SOA導入プロジェクトの失敗談や否定的な意見がまん延し、こうした見方が浮上してくる。

 確かに過去のSOA導入プロジェクトのなかには、技術面に拘泥しすぎて失敗したものが少なくない。2010年ごろまではこうした状態が続き、プロジェクトマネジメントの軽視がSOAの導入失敗の主因であり続けるとガートナーはみている。

 このため一方的に広い範囲を対象にトップダウン型でSOAを導入しようという構想は影を潜めつつある。代わって草の根的なボトムアップ型プロジェクトが浮上しようとしている。

 登場してから10年以上がたった今もSOAは進化し続け、今では企業がこれから利用するであろう新技術を支える基盤になりつつある。すでにSOAはRPCを使う原型を超えて、APIのRESTやWeb指向アーキテクチャやイベント駆動アーキテクチャに見られる相互作用の形式に変わりつつある。

 SaaSやBPM(ビジネスプロセス・マネジメント)、クラウドコンコンピューティングなど、SOAによって可能になった構想は広がる一方だ。SOAはSaaSやBPMのような、コスト削減を目指す取り組みを下支えしている。こうしたこともあって景気が後退しても、SOAの導入機運が急激に減退するとは考えにくい。

 それどころかここにきてSOAに対する関心を高めている業種もある。技術や導入手法の成熟を待っていた公共や医療などの顧客などだ。

 技術の成熟過程と市場に及ぼす影響を分析するためにガートナーが考案した「ハイプサイクル」に当てはめると、SOAは「幻滅期」の底を脱し、「啓蒙活動期」のスロープを上り始めた段階にある()。啓蒙活動期になると、一般的な企業も技術の恩恵を享受し始め、技術をよりうまく使うための方法論も確立される。

図●アプリケーション・インフラストラクチャのハイプ・サイクル(2008年)
[画像のクリックで拡大表示]

 エンジニアリング上の良い法則は不変だ。ほとんどのパッケージソフト・ベンダーは柔軟性や拡張性を高めるために、自社製品をSOAに沿って作り直した。これにより同じような機能を何度も作る手間もなくなったし、製品の機能を効率的に呼び出せるようになったのでコストも節約できた。

 このようにSOA適用の背景は何であれ、ほとんどの企業にとってSOAはもはや避けて通れないのである。

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