NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクモバイルの3社から2009年夏モデルの携帯電話新機種が出そろった。2008年度の携帯電話の国内出荷台数は3500万台で前年度の7割ほど。「7割経済」を地でいっているだけに、各社とも需要の掘り起こしに賢明だ。メーカーも生き残りをかけて、スマートなきょう体に意欲的な新機能を詰め込んだ端末を投入してきた。
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携帯電話市場の急激な縮小の原因は景気低迷だけではない。むしろ販売奨励金の廃止による端末価格の上昇の影響のほうが大きい。何しろそれまで「ゼロ円」「1円」が当たり前だった端末に、4万~5万円の値札が付いたのだから、買い控えが起こったのも無理はない。今でも一部に「ゼロ円」端末は残るが、あくまでも例外的な扱いだ。
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よく知られているように、販売奨励金の廃止は法律に基づく措置ではない。「モバイルビジネス研究会」が2007年秋にまとめた報告書を根拠に、総務省が端末価格と通信料金の区分を明確にした新料金プランの導入を携帯電話事業者に要請したのがきっかけである。総務省の担当者は要請の影響をきちんと理解していたのだろうか。携帯電話市場の縮小も、改正建築基準法、金融商品取引法、貸金業法と並ぶ官製不況だ。
そして今新たな官製不況が生まれようとしている。医薬品のネット販売規制だ。ネットユーザーのアンケート結果を見る限り、一般消費者のほとんどが反対しているのにもかかわらず、厚生労働省は6月1日に施行する省令でネット販売を大幅に制限しようとしている。5月25日には、これに反対するケンコーコムなどが国を提訴した。
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医薬品のネット販売市場は携帯電話市場に比べれば微々たるものだ。だが、こうした根拠の曖昧な規制が続いては、ビジネスの活力が失われてしまう。