たとえ一つの案件を失注しても、渡邉には営業としての通過点に過ぎない。その後も半年に1回は顧客を訪問し、忘れられないように努める。毎年、年賀状も書く。SE、コンサルタント時代から通いつめた顧客から、5年越しで受注したこともあった。
逆に受注できてもそれでよしとしない。プロジェクト期間中も稼働後も顧客への訪問を続ける。「顧客満足度を受注後に高めることができ、次の案件獲得につながる」と考えるからだ。
昨年、アイエックス・ナレッジは社内に営業担当者向けのグループウエアを導入した。発案したのは渡邉である。狙いは、営業担当者が案件情報を公開し合って、効率よい提案活動や適切なプロジェクトメンバーの配置を可能にすること。渡邉は自分の力だけでは受注の拡大や顧客満足の向上に限界があると判断し、グループウエア導入を働きかけた。中長期の視点で取り組む渡邉ならではの発想といえる。
自らが音頭を取り、今年2月からは10人弱のプロジェクトチームで営業担当者用の会社案内を作り始めた。説明資料やパンフレットを用意しなくても、全社のソリューションを一目で分かる会社案内である。全社のソリューションを洗い出してまとめるのは手間だが、一度作ってしまえばこの先の営業活動が楽になる。
この4月からは5人の部下を持つマネージャー職になったが、中長期の視点で考える姿勢は変わらない。「営業だから売り上げの数字を追うのは大事だが、それだけを考えていては伸び悩む」と部下に言い聞かせている。
アイエックス・ナレッジ
第三営業部 マネージャー