悩み:予定時間内に結論が出ないことがあります。部内の会議では別の日に続きができますが、顧客との会議のファシリテーターを務める場合などに結論が出ないととても焦ります。


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回答者:
日産自動車V-up推進E支援チーム

 多忙な販売会社で業務改善の議論に時間を割いてもらっているので、時間内に結論を出すことには気を配っている。時間内に終わらない最大の原因は、テーマの「大きさ」にある。例えば、半日の会議で「利益を2割増やすには」という議題に結論を出すのは難しい。「ディーラーオプションの利益を増やすには」などと対象とする範囲を限定しなければ、話が拡散するだけで結論には至らない。

進行予定を大まかに記した時間割を参加者全員の目に触れる場所に張り付け、時間順守の意識を醸成する
進行予定を大まかに記した時間割を参加者全員の目に触れる場所に張り付け、時間順守の意識を醸成する
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 テーマの妥当性を判断するために、ファシリテーターは自分で議論の流れをシミュレーションした詳細な進行表を作成している。そのうえで、会議を行う部門のリーダーと一緒に、「このテーマならどんな問題点や方策が出そうか」を予測し、最適な範囲を設定する。意見を出してもらうフェーズや、提案を絞り込んで優先順位を付けるフェーズなどに分けて、意見の整理のために使う図も考えつつ、時間を割り振り、進行表を修正する。進行予定を大まかに記した時間割を参加者全員の目に触れる場所に張り付けておけば、時間を順守する意識を植え付けることもできる。

●ファシリテーターはより詳細な進行表を作成
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 とはいえ、こうした予定調和を超え、会議が活性化して意見がどんどん出てくるケースも大いに歓迎だ。そうした場合も想定して、当日中にどこまで決めるかの「落としどころ」を部門長やリーダーと合意しておくことも必要だ。「要因分析までは絶対終わらせたい」とか、「改善案の洗い出しまでやりたい」といった具合だ。落としどころを踏まえつつ、会議が時間切れになる前に、時間を延長しても結論を出すか、延期するかを決めてもらう。ファシリテーターは選択肢を提示するだけで、意思決定の主体は会議の参加者だ。次のステップを自分たちで決定することで、「やらされる」「押し付けられる」といった意識をなくし、主体性を持って次の話し合いに臨めるようにする。

日産自動車V-up推進E支援チーム
課題解決活動「V-upプログラム」の推進組織として、社内及び販売会社の課題解決プロジェクトを支援する。分部庸子主管(写真左端)をはじめ、全員がファシリテーションの専門スキルを持つ。