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リクルートの情報システム部門であるFIT(Federation of IT)が構築するシステムは、インターネット関連や情報誌制作など全体の3分の2以上が直接業務を支えている。同社CIO(最高情報責任者)の藤原章一執行役員は、現場社員の思いを素早くIT(情報技術)で実現することを目指してきた。「システム部門であっても世の中や顧客に役立つ社会的インフラを手がける責任は強く感じられる」と話す。求人情報サイト「リクナビ」など藤原氏自身がかかわった仕事のいくつかも社会的なインフラとなっている。
2004~2005年にかけてFITのビジョン作りに取り組んだ。100時間ものミーティングを重ねて明文化したFITの存在意義は、「事業部門の信頼できる共謀者」というものである。その共謀者になるべく、FITの社員200人のうち150人が各カンパニーに常駐している。藤原氏は「リクルートは活躍できる舞台がたくさんある会社なので若手をどんどん厳しい場に放り込んで濃い体験をさせてやりたい」と語る。
2008年秋のリーマンショック以降、人材採用や住宅、旅行といった事業には向かい風が吹いている。新規投資の効果に対する厳しい評価が求められる。しかし「その上で必要な分には積極的に投資していく。昨今の景況感は今までのやり方を見直すいい機会だ。インターネットインフラのコストをどこまで圧縮できるかといった構造改革にも取り組んでいる」とあくまで前向きだ。
◆経営トップとのコミュニケーションで大事にしていること
・ITを軸とした専門的な言葉ではなく、経営やビジネスを軸とした言葉に置き換えて会話をするようにしています。「今の会社の課題は何なのか」、「その中でITは会社の課題をどうのように解決するのか」と、会社の経営課題と照らし合わせて表現するようにしています。
◆ITベンダーに対して強く要望したいこと、IT業界への不満など
・作ったものを紹介するという、彼らのソリューションや製品ありきでの提案ではなく、弊社の置かれている環境に応じて提案していただけるとうれしいです。また、生産性を上げることへのこだわりも期待しています。短納期で、高性能、ローコストなプロダクトを作ることへのこだわりが高まれば、開発現場に与える影響も変わってくると思います。
◆普段読んでいる新聞、雑誌
・日本経済新聞
・日経産業新聞
・朝日新聞
◆最近読んだお薦めの本
・『経営パワーの危機 会社再建の企業変革ドラマ』
(三枝匡著、日本経済新聞出版社)
・『次世代マーケティングプラットフォーム 広告とマスメディアの地位を奪うもの』
(湯川鶴章著、ソフトバンククリエイティブ)
・『個を活かす企業 自己変革を続ける組織の条件』
(クリストファーA.バートレット、スマントラ・ゴシャール著、グロービス経営大学院訳、ダイヤモンド社)
◆仕事に役立つお薦めのインターネットサイト
・CNET http://japan.cnet.com/
・ロイター http://jp.reuters.com/
・AFPBB http://www.afpbb.com/
・TechCrunch http://www.techcrunch.com/
◆情報収集のために参加している勉強会やセミナー・学会など
・JUAS(日本情報システム・ユーザー協会)
・ゴルフ
・お酒(飲みニケーション)
・子どもたちとサイクリング