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Val ITに学ぶ 危機の時代の正しいIT投資

第2回 「IT投資のフレームワーク」の生かし方

2009/05/25 ITpro

経営コンサルタント
情報システムコントロール協会 東京支部 理事
日本ITガバナンス協会 事務局長
梶本 政利

 投資意欲が縮小しがちな今こそ,正しいIT投資の考え方を習得しなければならない。それには,米ITGI(ITガバナンス協会)と米ISACAが策定したIT投資のフレームワーク(枠組み)「Val IT」の利用が有効である。こうした前提のもと,Val ITによる正しいIT投資の考え方を説明するのが本連載の狙いだ。

 前回は,危機の時代だからこそIT投資のガバナンスが必要なことを挙げて,Val ITの概要を説明した。今回はVal ITをより詳細に解説するとともに,現在の危機におけるIT投資のあり方を深く考えていくことにしたい。

「価値の提供」に重点を置く

 Val ITが示す「IT投資のガバナンス」は分かったようで,分かりにくい。一方で,「ITガバナンス」という言葉もある。ITガバナンスと照らし合わせて,企業活動の中でIT投資のガバナンスがどのような位置付けにあるのかを確認しておこう。

 ITGI/ISACAではITガバナンスやIT投資のガバナンスの位置づけを図1のように表している。

図1●ITガバナンスの流れとVal ITの位置づけ
図1●ITガバナンスの流れとVal ITの位置づけ

 図1の矢印は,ITガバナンスのプロセスを表す。「戦略の定義」に始まり,「価値の創出」から「機会の活用と「価値の保全」から「問題の解決」を並行して実施し,「継続的な改善」「結果の測定」に至って,また「戦略の定義」に戻るという流れを採る。

 最も大きな枠で囲まれた領域がITガバナンスの範囲である。「戦略との整合」「価値の提供」「リスクの管理」「成長の測定」「資源の管理」の5つで構成する。

 まず,企業や組織が策定した事業戦略をITでどう貢献できるかを検討し,IT戦略を立てる(戦略との整合)。IT戦略に基づき,確実に価値を生み出すための活動(価値の提供)と同時に,価値を減じないための活動(リスクの管理)を実行する。各活動について継続的に改善しつつ,状況を測定する(成果の測定)。その結果を戦略目標と比較して,次のプロセスにおける活動に反映させる。

 一連のプロセスでは,どの事業やシステムにどれだけの経営資源を投入すべきかを決め,投入状況を管理する(資源の管理)。これがITガバナンスの基本的な枠組みである。

 ITガバナンスのプロセスの中でも,「価値の提供」と「リスクの管理」は両輪を成すと言える。この「価値の提供」を中心とするプロセスを適切に実施し,IT投資によって確実にビジネスの価値を生み出すための一連の活動が「IT投資のためのガバナンス」である。図1中央左側の点線で囲んだ部分が該当する。

 IT投資のためのガバナンスを支えるフレームワークがVal ITとなる。図1をよく見ると,Val ITの領域はITガバナンスの領域から若干はみ出している。企業や組織における投資管理は,IT以外の分野も対象に含める必要があるからだ。

 この連載では扱わないが,ITGI/ISACAはITに関する「リスクの管理」を支えるフレームワークも提供している。それがRisk ITである。原稿執筆時点(2009年5月)ではExposure Draftの段階であり,日本語化はされていない。英語版のDraftはITGI/ISACA本部のWebサイトからダウンロードできる。

 Val ITとRisk ITは対照的な位置づけであり,互いに関連している。より大きな価値を生み出そうとすると,それだけリスクが高まる。一方で,より高度なリスク管理を実現することで,ビジネス上の価値を生み出す可能性も出てくる。

 ITGI/ISACAが発表したフレームワークとして最も有名なのは,ITガバナンスに関するCOBITである。このCOBITを基本として,IT投資のガバナンスを扱っているのがVal IT,ITリスクのガバナンスを扱っているのがRisk ITとなる。これら三つの関係を概念的に示すと図2のようになる。

図2●COBIT,Val IT,Risk ITの関係
図2●COBIT,Val IT,Risk ITの関係

 この図はあくまで概念的な位置関係を示したもので,図の大きさと実際にフレームワークがカバーしている領域の広さは必ずしも一致していない点に注意してほしい。

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