写真1●ベッコアメ浅草ビルコロケーションのサーバー・ルーム
写真1●ベッコアメ浅草ビルコロケーションのサーバー・ルーム
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 ISPビジネスの黎明期を知る人にとって,ベッコアメ・インターネットはなじみのある名前である。2004年,同社はコンシューマ向けのISPビジネスおよびホスティング・サービスを他社に譲渡。自らは創業当時から根強い需要のあった法人向けハウジング・サービスと,ホスティング・サービスを行うデータセンターのビジネスに特化することにした。

 現在,東京都内で3拠点を展開。その中にあって中核的な存在となっているのが,浅草のオフィスをロケーションとするデータセンター「ベッコアメ浅草ビル コロケーション」である(写真1)。施設の所有者ではないものの,同社が全面的に建屋の運営管理を委託されている。

サーバー1台のホスティングでも丁寧に説明する

 ベッコアメ・インターネットの一宮弘典氏(ビジネスソリューション部 マネージャー)は,同社を技術寄りというより営業寄りの企業だという。ベッコアメのブランド・イメージからすると意外に思うが,実際,サーバー1台のホスティング案件でも営業担当者が顧客のもとに出向くという。

 その背景には,企業のIT導入が進んだものの「ドメインをどう取るかなど,まだまだインターネットには分かりにくいところがあるから」と一宮氏は説明する。「顧客は自分自身のビジネスの言葉で何をしたいか話す。それに対し当社は“それならこういう方法がある”と分かりやすく提案できる」と一宮氏は話す。

ハイエンドからエントリまで対応可能

 ハウジング・サービスでは,ハイエンドからエントリまで幅広いニーズに応える。例えばハイエンドのニーズとしては,「最大64個のグローバルIPアドレス割り当て」がある。これは同社がもともとISP事業者で,AS(Autonomous System)番号を取得しているからこそ可能なサービスだ。必要なら,それだけの数を割り当てることが可能だという(もちろん,IPアドレスの利用状況は,管理団体であるJPNICが随時モニタリングしており,“将来使うから”といった理由での取得は難しい)。

 また,最近では1/2ラックでのスペース提供が好評だという。サーバーのスペックが向上し,3台を1台に集約するといったことも可能となってきたためだ。同社ではサービス提供単位を下げたが,今後は1/4ラックでの提供も視野に入れていきたい,と一宮氏は語る。

 一方,エントリ向けとしては,DNSサーバーを自社で導入していない企業向けに,共有DNSサーバーのサービスを提供している。同社所有のDNSサーバーを複数企業で利用することになるが,運用管理から解放されるとこちらも好評だ。

多彩なオプションを展開

 ベッコアメ・インターネットでは,専用サーバーによるホスティング・サービスも展開している。サーバー提供を中心とした標準サービスに加えて,オプションとして,ウイルスチェック,Webメールの提供,スパム/ウイルス・フィルタリング,帯域保証,マルチ・ドメイン,専用ファイアウォール,専用ロードバランサー,Web脆弱性診断,バックアップ,コンテンツ管理システムのインストール代行,SSLサーバー証明書取得代行など,そのメニューはかなり多彩。「当社は,いわば“インターネットの総合デパート”。顧客の希望のほとんどに対応できる」(一宮氏)。

ワンモア・ポイント
 浅草は東京有数の観光名所ということで,同社のデータセンターへ立ち寄ったついでに名物料理を味わうことを楽しみにしているITエンジニアもいるという。浅草の中心市街までは徒歩で10分ほどかかるが,確かに老舗の江戸前そばや鰻,どじょうの店が近いというのは気分的に悪くないかもしれない。

基本情報
●名称:ベッコアメ・インターネット ハウジングサービス
●場所:東京都台東区駒形
●最寄り駅:東京メトロ「浅草駅」徒歩10分
●料金:1/2ラック月額10万円(税抜き,通信回線費用別)