現在,米Microsoftが注力しているのは,もちろん次期クライアントOSの「Windows 7」である。米Microsoftは,次期クライアントOS「Windows 7」の完成度が今すぐリリース可能なレベルであるはずなのに,なぜ2009年10月中旬まで発売しないのだろうか(関連記事:ほぼ完成したWindows 7,リリース時期は「2009年中」で前倒しせず)。

Take1:「Windows 7をWindows Vistaの二の舞にはしない」

 その答えは同社が5月18日(米国時間)に出す。同社は,発売時点で互換性問題がつきまとった先代OS「Windows Vista」の轍(てつ)を,Windows 7には踏ませないようにしているのだ。

 すでにWindows 7は,現在市場に出回っているほぼすべてのハードウエア/ソフトウエアとの互換性が確保できている。さらに当然だが,発売から3年弱のWindows Vistaに対応したハードウエア/ソフトウエアでも,事実上すべて使える。ところがMicrosoftは,できるだけ100%に近い互換性を確保できるまでWindows 7を出荷しないつもりらしく,これからの数カ月をそのために費やす。

 率直にいって,そこまでする必要はないと思う。市場はもうWindows 7を受け入れられる状態になった。Windows 7自体の準備も整っている。

Take2:景気低迷に対するMicrosoftの回答がWindows 7

 Microsoftには,直面している不況にともなう財務上の低迷を抜け出す対策がある。それが「Windows 7」だ。

 同社CEOのSteve Ballmer氏は2008年5月第3週,「当社が一連のリリースで発売するWindows 7やその他の製品は,『経済をリセット』する引き金につながる。われわれは滅多にない経済変化の渦中におり,経済はリセット段階にある」と述べた。

 同社は2010年に90億ドルの研究開発予算を計上しており,「空前の改革」を実現するという。