現状では,フェムトセルを活用した“フェーズ2”のサービス像として,まず「家庭内の様々な家電機器とフェムトセルを連携させるサービス」が考えられる。

 これは,フェムトセルが家庭内に設置される点に着目したもの。家庭内の様々な家電機器と携帯電話を結ぶデバイスとして活用し,外出先から携帯電話を使って家庭内の機器をコントロールできるようにする。

ソフトバンクモバイルがCTO宅で実験

 例えばソフトバンクモバイルの宮川CTOはFemtocells Asiaで,サービスの例として,宮川CTOの自宅で実施している実験の様子をビデオを交えながら紹介した。家の窓の施錠状況を把握できるセンサー機器とフェムトセルを連携させ,家の外から鍵の状況を確認するなどのデモだ。ユーザーがフェムトセルに接続しているというプレゼンス情報を生かして,ユーザーが家から外(厳密にはフェムトセルのカバー範囲外)に出たタイミングで,施錠状況を携帯電話にプッシュ配信するような仕組みも実装した。

 同社はこれらの機能を,フェムトセルに実装したOSGiのプラットフォーム上で実現しているという。各機能に対応したソフトウエア部品を追加することで,様々な連携機能を実現しやすい形を目指している。

 パナソニック モバイルコミュニケーションズも,2月に開催されたモバイル関連の展示会「Mobile World Congress 2009」で,同社製のフェムトセルとAVサーバーなどの家電機器を連携させるデモを披露した。フェムトセルが家庭内の様々な機器と携帯電話をつなぐ,いわばブリッジとしての役割を果たすわけだ(図1)。

図1●フェムトセルと家庭内の様々な機器を連携させたサービス<br>フェムトセルは携帯電話と家電機器を結ぶブリッジとして利用可能だ。フェムトセルが通信方式を変換する役割を果たす。DLNAなどのプロトコルを使って,携帯電話から家庭内のDVDレコーダのコンテンツをメニュー表示し,コンテンツを視聴するといった使い方が可能になる。
図1●フェムトセルと家庭内の様々な機器を連携させたサービス
フェムトセルは携帯電話と家電機器を結ぶブリッジとして利用可能だ。フェムトセルが通信方式を変換する役割を果たす。DLNAなどのプロトコルを使って,携帯電話から家庭内のDVDレコーダのコンテンツをメニュー表示し,コンテンツを視聴するといった使い方が可能になる。
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 フェムトセルにLANやBluetoothなどの通信機能と,それぞれのプロトコル変換機能を実装しておけば,各種の家電機器と携帯電話の通信を仲介できる。フェムトセルは,家電ネットワークにおけるキー・コンポーネントになる可能性を持っている。