今回は「TSPY_BANCOS.ANM(バンコス)」の活動を検証する。この不正プログラムは2005年に登場したトロイの木馬だ。日本の銀行のURLのみを狙う情報取得活動,盗んだ情報の送信先が日本の大手プロバイダがホストしているURLであることなど,日本国内に特化した活動を行う。当時から明るみになってきていた特定地域を狙うターゲット・アタック,そして,金銭を目的とする不正プログラムの犯罪化の2つの傾向の実例として注目を浴びた。

 では早速,実行してみよう。「TSPY_BANCOS.ANM」で最も重要な活動は外部への情報送信活動だが,まずはネットワーク接続がない環境で実行してみる。Windows XP SP3の仮想環境にファイルをコピーし実行する(図1)。ファイル名は分かりやすく「bancosANM.com」となっている(図2)。

図1●今回検証した環境
図1●今回検証した環境
テスト機上でTSPY_BANCOS.Aを実行。検証用Webサーバへの通信が行われるかを確認する
図2●「TSPY_BANCOS.ANM」であるbancosANM.comを実行
図2●「TSPY_BANCOS.ANM」であるbancosANM.comを実行