在宅勤務時に限らず,企業における情報共有の要となるグループウエア。パンデミック下で対面コミュケーションが難しい状況では,企業の情報のみならず社員の感情を共有するツールとしての側面が重要性を増す。そこで導入を検討したいのが,従来型グループウエアを補完するSNSのようなコミュニケーション・ツールである。

図1●ネオジャパンの「desknet's Ver.7」
図1●ネオジャパンの「desknet's Ver.7」
安否確認機能を搭載。
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 多くの企業は,既にMicrosoft ExchangeやIBM Lotus Notes and Domino,サイボウズOfficeといったグループウエアを導入しているはず。本特集「第1回 SSL-VPNゲートウエイ」で紹介した製品/サービスなどを組み合わせれば,社内にいるときと同じ環境で仕事を進められる。パンデミックが現実の危機として騒がれる以前から「在宅勤務」や「テレワーク」をキーワードにリモート・アクセス機能や携帯電話/PDA対応を進めてきた。小回りの良さを生かして,安否確認の機能を取り込んだネオジャパンの「desknet's Ver.7」のような製品もある(図1)。

 グループウエア単体で足りない要素は,SNSに代表される従業員間の感情を共有できる,いわゆる「ソーシャル・ソフトウエア」で補える(図2)。企業内ブログ/SNSのように気軽に意見を交換できる仕組みを用意することで,在宅勤務の孤独を和らげる効果が期待できる。またブログやSNSはノウハウを明文化する場として機能するため,在宅勤務を段階的に導入する際の情報共有をスムーズに進められる。平時からブログ/SNSを情報共有の場として活用しておけば,BCP(事業継続計画)に沿って参集した代替要員が,ブログ/SNSを通じて属人的な情報も引き継げる。

図2●社内ブログ/SNSのメリット
図2●社内ブログ/SNSのメリット
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対面コミュニケーションをネットワークに写像

 社内ブログ/SNSは,インターネットで育ってきたブログ/SNSに,ID管理やアクセス制御といった企業向け機能を追加した製品/サービスだ。記事の投稿やコメント,人の所属や特技などを記したプロフィールといった基本機能は,インターネットのブログ/SNSと変わらない。

 ID管理は,複数のユーザーを一括管理できる機能。ユーザー数が数百人規模のエントリー製品ではCSV形式による一括登録,1000人を超える中・大規模向け製品ではLDAP(lightweight directory access protocol)/Active Directory連携機能を持つものが多い。人事異動・組織変更に伴うユーザー属性情報の更新を即座に反映したいのであれば,こうしたディレクトリ・サービス連携機能を重視したい。

 アクセス制御は,記事やページの投稿・閲覧の権限を設定する機能である。非公開・友達限定・公開,というシンプルな製品/サービスから,ユーザー/グループ,記事/コミュニティのそれぞれできめ細かに権限を設定できる製品/サービスまでと多岐にわたる。単にコミュニケーションの場として利用するのではなく,部外秘・社外秘をSNS/ブログをプラットフォームにして構築できる。メタデータの「MextPNE」のように,機密情報を意味解析技術で自動的に伏せ字とし,記事は読めるが情報の一部を閲覧させない,といったアクセス制御が可能な製品もある。