Webサイトを見て回る際,直感的に「好きになれない」と感じることがあります。職業病的に気になればソースは見てしまいますが,それ以前に,引っかかる「何か」を察知しています。グラフィックデザインの好き嫌いや好みには余り関係ありません。目に見える「要素」の関係性,グラフィック部品の配置,誘導の仕方,そんな小さな「何か」の積み重なりが,『このサイトは「残念な香り」がする』と囁いているかのようです。今回はそれらを五つに絞って考えてみます。

サイトを嫌わせる五つの要素:あいうえお

五つの要素

とりあげる要素は,画面を見ている人が,基本的にはボソっとつぶやくような言葉です。私自身はこんな言葉になるのですが,多少個人差のあるニュアンスがありそうなので,Weblio 類語辞典からイメージ的にズレの少ないものをそれぞれ列挙しておきます。

実際のイメージ:【あ】~【お】

【あ】あざと~

サイトに入った途端に感じる匂いというものは存在します。誘い込んで何かを奪おうとする類のサイトは,テンプレートの供給が少ないせいかもしれませんが,一目で「ん?」と感じます。宣伝色の余りに強いサイトは,同系統の匂いを感じます。言葉巧みに,その機能なり商品なり会社なりの宣伝をして,さらにユーザーに「もう一手」をどこか要求しているような感触です。

あざとい - 類語辞典(シソーラス)

▽商法・やり方などがあざとい
あくどい ・ えげつない ・ 抜け目がない ・ 強腕による ・ 汚い(やり方) ・ ギンギラギンの ・ 毒々しい ・ どぎつい(宣伝) ・ (露骨な)商魂 ・ 商道徳にもとる~
▽様相・性格などがあざとい
(やることが)いやらしい ・ 意地汚い ・ 卑しい ・ あさましい ・ ギラギラした(性格) ・ あくの強い(人物) ・ 人を踏みつけても自らの利益を追求する ・ (周囲から)顰蹙(ひんしゅく)を買う

この印象はサイト全体に限りません。例えば,ニュースサイトの記事一覧の中にも,宣伝が混じっている場合があります。最近は,一応「[PR]」とは付いていますが,それが記事タイトルの末尾だったりするケースです。例えば下記は,全く似て非なるものだと思いますし,多くの人がそう思うのではないでしょうか。

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キャッチーなタイトルでユーザーを誘い込んでページビューを稼ぐ,やたらとページを分割して宣伝を送り込む,それらもかなり似ていると感じます。また最安値情報で釣っておいて,そのサイトを訪問しても,その最安値商品は下の方に追いやられていて,探さなきゃわからないようなサイトもそうです。提供側の人は,「そんなもの」と思っている節を感じますが,実は想像以上に嫌われている要素だと,私は信じています。

そして,この類語辞典が奇しくも示しているのは,ブランディングにも影響するという点です。「やりかた」が「性格(パーソナリティ)」への判断に広がることを示唆しているようにも見えます。何かしら「あざとさ」を感じたサイトや広告主に対して,それに引っかかったユーザーは,特定のイメージを持つと思われます。「あ~,あそこだよ,また」,あるいは「まだこんなこと続けてるよ,しょーがないなぁ」。

Webはなんとなく有益な情報源だという認識が根底にあって,それ故に宣伝広告色が強まるほどに,眉間にしわが寄るのでしょう。あからさまなやり方は,信用を引き下げこそすれ,メリットが何かあるようには感じません。ビジネスとはいえ,「あざと~」と思われないような情報バランスと表現バランス,これが必要なものではないでしょうか。