みなさん、こんにちは。当研究所では、グローバリゼーションをキーワードに、これからの企業基盤を考えています。前回(第4回)は、「心・技・体」のうちの「技」=テクノロジを取り上げました。今回は、最後の「体」=プロセスについてお話しします。IT部門が考えるべきプロセスには、IT部門内部の意志決定プロセスと、システム構築と呼応する業務プロセスとがあります。

 第1回第2回では、グローバリゼーションの概論を通して、全体最適と個別最適をどうバランスするかについて話しました。第3回第4回では、「心・技・体」の三つのテーマのうち、「心」=能力(人材)・組織と、「技」=テクノロジについて、グローバリゼーションに立ち向かう局面で、それぞれの要素をどうバランスさるかについて、より具体的に紹介しました。

 今回は、グローバリゼーションの最後テーマである「体」=プロセスの最適化について話を進めます。

全員で進むべき方向を具体的に決める

 IT部門が最適化を図らなければならないプロセスは、大きく二つに分けられます。一つは、「ITガバナンス」に代表されるような、IT部門内部の意思決定プロセス、つまりIT部門内部のプロセスです。もう一つは、IT部門が担当するシステム構築(情報、アプリケーション、インフラ構築)に呼応する形で存在する、業務を中心としたプロセスです。

 業務プロセスとシステム構築について、どういう形で全体最適と個別最適をバランスさせるかということは、大変興味深いテーマです。しかし今回は、「グローバリゼーションにおけるIT部門内部のプロセス」について検討してみましょう。

 IT部門内部のプロセスはまた、(1)IT部門の戦略策定から始まり、ガイドラインや標準化手順などを決定する「意思決定プロセス」と、(2)決定されたガイドラインやフレームワークに則り、サービスを開発・運用する「IT部門サービスプロセス」に大別できます。

 まずは、グローバリゼーションにおける「意思決定プロセス」のあるべき姿について考えましょう。意思決定プロセスを遂行する上で、まず実施しなければならないことは、IT部門として、全員で進むべき方向、理想の姿を具体的に決定することです。

IT部門トップの役割は方向性の明確化

 これはIT戦略やミッションという形で表現できます。「我々の進むべき方向、理想の姿は、ここである」というものを、地域や拠点、事業部にいるIT部門の仲間も含めて、決定して下さい。筆者は、IT部門の戦略は、一部のトップが決定するのではないと考えます。拠点や事業所の視点を反映させ、できるだけ全員参加の形で作成するものだと思っています。

 では、この段階でIT部門トップがなすべき仕事とは何でしょうか?それは、会社全体の中期事業計画や本年度の実行目標、各事業戦略に関連する形で、IT部門の“重要戦略課題”を浮き彫りにすること。そして、その課題をどのアングルから解決するかという“進むべき方向性”を提示することに尽きます。