全社を挙げて思考法のひな型を作る

 NTTデータと電通国際情報サービスは、営業担当者が身に付けるべき思考法のひな型を用意。アラサーが自ら成長していくための指針にしようとしている。

 NTTデータが現在取り組んでいるのは、企業が抱える課題分析や業務要件の定義など、システム開発の上流工程よりも前の、いわば「超上流」の標準化である。現行業務の課題を収集・分析したり、業務改革のプランを立案したりするためのプロセスを標準化し、超上流工程を担うことのできる人材を増やすことが目的だ。

 2009年4月をめどに同社はひな型を固め、現場で活用していく。標準化は営業部門と開発部門が共同で取り組み、アラサーの教育に役立てる。

図5●NTTデータはアラサーの教育に、業務コンサルティング向けの知識体系「BABOK」を活用
図5●NTTデータはアラサーの教育に、業務コンサルティング向けの知識体系「BABOK」を活用
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 超上流人材としての思考法を養うためにNTTデータは、要求分析に向けた知識体系「BABOK」(Business Analysis Body of Knowledge)を活用する(図5)。カナダは英国のIIBAが策定したもので、プロジェクトマネジメントの知識体系であるPMBOKの業務コンサルティング版という位置付けである(BABOKに関する説明は、囲みを参照)。

 現時点ではBABOKのなかで、企業分析に有用な部分を中心に周知徹底し、営業力の底上げを狙う。「BABOKはただのノウハウ集ではなく、顧客の経営課題に対する解決策を生み出すための実践的な知識体系だ。これを学ぶことは、営業担当者にとってソリューション提案の武器になる」と、NTTデータの原山太郎技術開発本部ソフトウェア工学推進センタシニアスペシャリストは断言する。

業務コンサルの知識体系「BABOK」が上陸

 アラサーを成長させるためにNTTデータが活用しようとしているのが、業務コンサルティング向けの知識体系「BABOK(Business Analysis Body of Knowledge)」だ。

 BABOKは、現行業務の課題を洗い出し、その課題を解決するための要件を定義する「ビジネスアナリシス」のための知識や方法論である。カナダの独立非営利団体「IIBA」(International Institute of Business Analysis)が発表した。日本では2008年12月に、IIBA日本支部が発足。BABOK日本語版の作成や、認定資格制度の準備を始めたところだ。

 「BABOKでは、ITの活用は手段の一つ。企業が導入する目的は、経営者、事業の責任者、業務担当者などさまざまなステークホルダーから要求や期待を聞き出すことや、投資対効果を考慮しながら業務を改革することにある」。IIBA日本支部代表理事であるNECソフトの福嶋 義弘ITトレーニングセンター長はこう話す。同氏は「常に顧客の目線を意識する必要があるため、ソリューションの営業担当者のスキル向上に役立つ」と、BABOKの教育効果を説明する。

 既に一部の国内ITベンダーがBABOKの活用に動いている。NTTデータやNECソフトなど11社がスポンサーについているという。