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JASRAC排除命令の深層

「一体,我々のどこが悪い」,JASRACが公取委と全面対決へ

島田 昇=日経コンピュータ,高瀬 徹朗=放送ジャーナリスト 2009/05/11 日経コンピュータ

 他の著作権管理事業者との競争を阻害しているとして,社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)に独占禁止法違反で排除措置命令を行った公正取引委員会。「公取委の事実誤認」として不服を申し立てるJASRAC。意見が食い違う両者と,その背後にはどのような問題があるのか。経緯を整理するとともに,まずはJASRAC側の言い分を聞いた。

 2008年4月。公正取引委員会は日本音楽著作権協会(JASRAC)に対し,他の著作権管理事業者との競争を阻害しているとして,独占禁止法(私的独占の禁止)違反の疑いで立ち入り調査を行った。近年,二次創作の人気も成長の一要因であった動画共有サイトに対し「著作権侵害」として厳格な運用を求めるなど活躍が目立ったJASRAC。インターネット上では公取委の動きに好感を示す意見が多い半面,権利者や著作権利用者などの関係者の間では戸惑いの声も聞こえた。

 そして2009年2月27日。正式に公取委からJASRACに独占禁止法違反に基づく排除措置命令が下され,この問題は本格的に動き出した。

圧倒的シェアも,問題点は徴収方法

 命令書に記されたJASRACの独占禁止法違反行為とは,「放送等使用料の算定において放送等利用割合が反映されないような方法を採用することにより,他の管理事業者に支払う使用料の総額が増加することとなるようにしている行為」(主文より一部抜粋)。平たくいえば,「JASRACと放送局の包括契約が新規参入事業者の進出を阻害している」ということになりそうだが,事はそう簡単ではない。

 公取委の報道発表資料によると,放送番組での音楽利用において,JASRAC管理楽曲が市場に占める割合は99%以上にのぼる。利用にあたっては,一定額(年間の放送事業収入の1.5%)を支払うことで管理楽曲を自由に使える包括許諾契約が結ばれており,これによって放送事業者は,逐一,JASRACに利用楽曲を報告することなく,番組内で音楽を利用する環境が整えられている。

 これに対し,1%以下にあたる他事業者の管理楽曲を利用する際には,個別の料金支払いと報告義務が必要。利用数に大差があるものの,条件面でJASRACが圧倒的に有利なのは明らか,と公取委はまず指摘する。しかし,公取委が直接問題視しているのは,この両者の契約体系の違いではない。これを理解するには,著作権管理に関する法整備の流れを知る必要がある。

 2001年に規制緩和の一環として,著作権管理の事業分野にも市場競争を起こすべく,「著作権等管理事業法」が施行された。これまで文化庁認可による独占事業だった音楽著作権管理業務は登録制へと移行し,複数の事業者が新規参入を果たした。これ以前の段階では,音楽の放送利用市場におけるJASRACのシェアは100%(正確には海外の未管理楽曲などがある)だったが,新法施行後,JASRACのシェアは多少ではあれ減少した。

 ところが,包括契約に設定された使用料金は2001年以降も変化がない。番組制作における音楽の利用を定率の年間コストとして計上してきた放送事業者にとって,その一定額を超えたコストがかかるのは「負担」。したがって,新規参入事業者が管理する楽曲を使わないという状況が生まれている,と公取委は指摘しているのである(図1)。

図1●公取委が問題とするJASRACによる使用料の包括徴収と放送事業者の追加負担の関係(公取委資料による)
JASRACは,放送事業収入に一定率(例えば1.5%)を乗ずるなどの方法で,放送事業者から徴収する使用料を算定している。この包括徴収では,放送番組で利用したJASRAC管理楽曲の割合が反映されないため,放送事業者が他の管理事業者の管理楽曲も利用しその使用料を支払う場合には,放送事業者が負担する使用料の総額がその分だけ増加することになる
[画像のクリックで拡大表示]

 主文に明記されている「放送等利用割合が反映されないような方法」とは「100%だった当時と99%台になった現在とで料金が変わっていないのはおかしい」という意味だ。それを反映するよう何らかの措置を講じることを求めるのが,命令書の趣旨である。なお,「利用した楽曲をすべて,正確に報告する」という全曲報告案は改善策の一例であり,公取委側がそれを指示したという事実はない。

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