「データセンターの移転を検討する理由はコスト削減」。こう答える情報システム担当者が44.6%もいた。これは、2009年1月に企業の情報システム担当者1200人を対象に実施した「データセンター利用に関する調査2009」で、移転を検討している回答者74人に、その理由を聞いた結果だ(図1、調査の概要は囲みを参照)。

図1●料金を理由に、データセンターの移転を希望する企業が急増している
図1●料金を理由に、データセンターの移転を希望する企業が急増している
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 データセンターの移転を検討している実に半数近い情報システム担当者が、データセンターのコストを問題視している。データセンターまでの交通の便や、セキュリティ、電源容量といった、これまで問題視されてきた要件の回答を大きく離しての1位である。

 昨年同じ調査を実施した際は、データセンターの移転を検討する理由として、「月額料金が安い」ことを挙げる回答者は18.3%。「その他」に次いで多い回答ではあったが、今年ほど突出してはいなかった。

 データセンターは今や、情報システムの根底をなす重要設備。ブレードサーバーや仮想化技術などの導入によりサーバー統合を実現したり、災害対策などを推進したりするうえでは、データセンターによる下支えが欠かせない。

 今回の調査結果からは、情報システム担当者のデータセンターに対する期待や不満がはっきりと見えてきた。例えば、自前で運営するデータセンターであっても交通の便が悪いことへの不満が多い、などの意外な分析結果も出た。利用実態を明らかにすることで、企業情報システムに利用され始めているクラウドコンピューティングの活躍の場も、見えてくるはずだ。