開催地:目黒雅叙園(東京都目黒区)
URL:http://www.microsoft.com/japan/academic/studentday
/2009/default.mspx
2009年で7回目の開催となる米Microsoftの学生向け技術コンテストImagine Cup 2009。ITに関係する学生向けのコンテストとしては世界最大規模といえるでしょう。昨年(2008年)のImagine Cupには100カ国以上,約20万人の学生が参加したといいます。
今年もImagine Cupは,2009年7月にエジプトで開催される世界大会に向けて動きだしています。そのテーマは「テクノロジーで世界の社会問題を解決する」。この大きなテーマに,各国の学生たちがソフトウエアの力で挑戦します。
2009年3月30日,Imagine Cupの中心といえるソフトウェアデザイン部門に日本から出場する代表チームを決める国内最終予選が,目黒雅叙園で開かれました。この様子をレポートします。
テクノロジーで世界の社会問題を解決
2009年のImagine Cupは昨年と同様に九つの部門があります(表1)。2009年から変更された部門は三つ。表1のうすい緑色の部分が新部門です。2003年に開催された第1回からずっとImagine Cupの中核的な部門だったソフトウェアデザイン部門など,主要な部門はそのまま残っています。
部門名 | 概要 |
---|---|
ソフトウェア デザイン | テーマに沿ったソフトウエアを開発提案する |
組み込み開発 | Windows Embedded CE 6.0 R2や提供される組み込みプラットフォームを利用してハードウエア込みの開発をする |
ゲーム開発 | テーマに沿ったオリジナルのゲームを開発する |
IT チャレンジ | マイクロソフトのサーバー製品を利用してシステムを構築する |
ショートフィルム | 短い映像作品を制作する |
写真 | 写真で制作したフォトエッセイでストーリーを伝える |
マッシュアップ | ドラッグ&ドロップでWeb 2.0アプリを構築できるPopFlyを利用してユーザーが効果的に利用できるツールを作る |
ロボット(アルゴリズム) | 架空のロボットで動作するプログラムを記述して問題を解く |
デザイン | マシンと人間の対話が簡単になるような画期的なデザインのソリューションを作成する |
どの部門も,“テクノロジーを使って世界の社会問題を解決する”という共通テーマで戦います。この「世界の社会問題」はもう少し詳しく定義されていて,具体的には国連の「ミレニアム開発目標」を用います。2000年9月にニューヨークで開催された国連ミレニアム・サミットで採択された,21世紀の国際社会の目標と,それまでの国際会議で採択されていた国際開発目標が,統合されてまとめられたものがミレニアム開発目標なのだそうです。
目標は以下の八つがあります。(1)極度の貧困と飢餓の撲滅,(2)普遍的な初等教育の達成,(3)ジェンダーの平等の推進と女性の地位向上,(4)幼児死亡率の引き下げ,(5)妊産婦の健康状態の改善,(6)HIV/エイズ,マラリア,その他の疾病の蔓延防止,(7)環境の持続可能性の確保,(8)開発のためのグローバル・パートナーシップの構築――というもの。国連はこれらを2015年までに達成することを目指しています。学生たちはこれらの目標から,自分たちが解決したいテーマを一つか複数選んで挑戦します。
ソフトウェアデザイン部門の日本代表を決める最終選考でプレゼンテーションするのは,書類審査を勝ち抜いた3チーム。5人の審査員が,表2の10項目で審査します。優勝すれば,2009年7月3日からエジプトで開催される世界大会へ出場できます。その発表の様子を見てみましょう。
項目 | 概要 |
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問題定義 | チームが選定した問題はどれだけ正確で現実的なものか |
整合性 | 作品内容がどれだけImagine Cup 2009のテーマに沿っているか |
革新性 | 作品のアプリケーションは,今まで取り組まれていない新しい問題にアプローチするものであるか,または従来からある問題に新しい方法でチャレンジしているか |
影響度 | 作品のアプリケーションは大多数の人に広く影響を与えるものであるか,または少数の人に深く影響を与えるものであるか |
効果 | 作品のアプリケーションは,定義した問題をどの程度解決できるか |
ユーザー エクスペリエンス | 作品のアプリケーションは,HCI(人間とコンピュータの相互作用)において,どれだけわかりやすく,人間工学的に使いやすく,ユーザーフレンドリであるか |
普及性 | 作品は現実的に,また技術的に,世界的な展開が可能であるか |
複雑さの管理 | 作品が提示する解決策は,問題解決に使用したすべてのテクノロジーと技術を,どのように組み合わせて処理しているか |
機能の完成度 | アプリケーションの機能は実行可能であり,デモンストレーションの準備ができているか |
プレゼンテーション | プレゼンテーションでは,制作の背景と経緯,提議した問題を選んだ理由,システムの利点や特徴などを説明する。デモ,質疑応答を含め,これらが効果的に実施されたか |