2009年3月16日に開かれた情報通信審議会の接続政策委員会第2回合同ヒアリングで,携帯電話事業者の接続料を巡り議論が白熱。そこでは,NTTドコモの山田隆持社長が,ソフトバンクの孫正義社長の説明を一蹴する場面も見られた。

 ソフトバンクは「透明性のある接続料の算定ルールを策定すべき」と主張し,NTTドコモも同調する。しかし孫社長はこの議論に800MHz帯を持ち出した。ドコモやKDDIは伝搬特性が優れるとされる800MHz帯を使っており,エリア展開が有利だと主張。ドコモの800MHz帯を使う3G基地局は約2万9000局で済むが,ソフトバンクモバイルは2GHz帯しか使えないため3G基地局が約5万5000局になると説明した。さらに累積投資額で8000億円の差があるとし,接続料コストにも影響すると述べた。

 だが,これは“突っ込みどころ”のある発言だ。山田社長は総務省の無線局免許情報を基に,ソフトバンクモバイルの3G基地局数を「約3万7000で,5万5000にはリピータなどを含むのでは」と指摘。さらにドコモは2GHz帯の3G基地局だけで約4万5000あることを述べ,正確な比較は無線局種別の免許数に基づくべきとした。孫社長はこれに正対する答えを返さなかった。

 無線局免許種別では,基地局は「基地局(PHS除く)」,リピータは「陸上移動中継局」として区別する。これに基づくとソフトバンクモバイルの3G基地局は山田社長の言う通り2月21日時点のデータで約3万7000。「コスト」の一部である基地局のとらえ方すら業界内で違う状況で,果たして透明性のあるルール策定が望めるのか。山田社長は孫社長にそう言いたかったのかもしれない。