アシアルは2009年2月27日,Microsoft Visual StudioをベースにしたWindows向けPHP統合開発環境「VS.Php日本語版 2.6」の販売を開始しました。この製品のベースであるVS.Phpは米Jcx Softwareが開発したPHP用の統合開発環境です。

 PHP用のIDEはフリーのものから商用パッケージまで,いくつかの製品がこれまでに登場しています。ただし,PHPは平易なスクリプト言語であるため,多くの開発者はIDE(統合開発環境)を使用することなく,おそらくはテキスト・エディタで直接コードをゴリゴリ書いているのではないかと思います。

 PHP2の頃から長年PHPと付き合ってきた私もエディタ派です。デバッグはサーバーにFTPで転送した後にブラウザで行うというスタンスです。今回はVS.Phpを使って実際にPHPのプログラミングをしてみて,PHP開発でIDEを使用することの意味を確認してみたいと思います。

VSのIDEをユーザー・インタフェースとして使う

 まずはVS.Phpの概要です。VS.Phpは開発環境として完成の域にあるMicrosoft Visual Studio(以後,VSと略)を“器”として使用します。したがって,Visual BasicやVisual C#,Visual C++を使った経験がある人なら,違和感なく利用できます。また,これらの開発言語を使ったことが無い人であっても,VSのユーザー・インタフェースはIDEのデフォルト・スタンダードとも言えますので,操作に戸惑うことは少ないのではないかと思います。

 VS.Phpには三つの製品ラインアップがあります。

(1) VSを持っていない人用の「VS.Php Standalone」
(2) VS2005所有者用の「VS.Php for Visual Studio 2005」
(3) VS2008所有者用の「VS.Php for Visual Studio 2008」

 いずれも,ダウンロード版が2万4800円(税込),パッケージ版が2万9800円(同)です。購入前にVS.Phpを体験できる試用版も用意されています(試用版ダウンロードのページ)。試用版はインストール後30日間試用できます。内容は正規版と同じで機能制限はありません。

 「VSと同じIDEで開発する」ことの意味から考えれば,本来はVS所有者がVS.Phpを選択することになると思いますが,(1)のようにVSを所有していない人向けのパッケージも提供されています。このパッケージは「VS.Php Standalone」と呼ばれます。VS.Php StandaloneにはVS 2005のインタフェース部分が同梱されています。もちろんC#などのMicrosoft系開発言語は含まれません。VSのIDEが持つ外観と基本的な開発支援機能のみが利用可能です。

 (2)と(3)の製品にはVSのユーザー・インタフェースは含まれません。VSのアドオンやプラグインとして提供され,それぞれ該当するバージョンのVSのリソースを使用します。ちなみに,アドオン/プラグインに対応していないフリーのVisual Studio Express Editionでは利用できません。VS Expressを利用している人は,Standaloneを購入する必要があります。