iPhoneのアプリケーションは,開発/構築という観点で見ると,一般的なプロダクトやアプリケーションの開発と大きく違うフローが必要になる。その違いをもたらす大きな理由は,iPhone Developer Programの存在だ。
アプリケーションの開発からリリース,品質管理,コンセプトまで,iPhoneアプリケーションは様々な面でこのiPhone Developer Programによる恩恵と制約を受ける。例えば,iPhoneをリリースする際には,ユーザー・インタフェースを,Appleが提供している「iPhone Human Interface Guidlines」にのっとったものにする必要がある。
Appleは,iPhone Developer Programにおいてこのような制限をかけることによって,App Storeに並ぶアプリケーションの品質を担保している。App Storeにアプリケーションを掲載しようとする以上,開発者はこのiPhone Developer Programに登録する必要があるのだ。しかし,このProgramへの登録は,取るべき手続きや理解しておくべきことも多く,なかなかサクサクできる,とまではいかないのが現実である。
厄介な手続きが必要なのは,iPhone Developer Programへの登録だけではない。作成したアプリケーションをApp Storeに掲載するためには,アプリケーションの申請を行う必要があるのだが,これにも面倒な手続きが存在する。
今回と次回の2回にわたり,iPhone Developer Programへの登録方法から開発環境の整備,アプリケーションの申請まで,理解しておくべき事項などについて説明していく。
iPhone Developer Programの申し込み手順
iPhone Developer Programに申し込むには,いくつかの手順と段階を踏む必要がある。
1. Apple IDの作成
2. iPhone Developer Programへの登録申請
3. 申請承認後,iPhone Developer Programの購入
これらについて,一つずつその手順を紹介していこう。この作業は,iPhone Dev Centerにアクセスし,右サイドの「iPhone Developer Program」の欄にある「Learn More」を進んだ画面から行う(画面1)。
1. Apple ID の作成
最初に,iPhone Developer Programで使うアカウントとなる,Apple IDを作成する。このApple IDは,プログラムに支払いをする際や,アプリケーションの申請から管理までを行う際のアカウントとして使用するものだ。
iTunes Store などで既にアカウントを持っていればそれを利用することもできるが,ここでは新規に作成する場合の流れを説明していく。なお,既にアカウントを持っていても,登録名に日本語を利用していると,途中のアクティベーション処理で面倒な手続きを取る必要が出てくるので,新規に作成した方が手間は少ない。
まず,iPhone Developer Programの説明画面を次々と進んでいくと,Apple IDを作成するかどうか聞かれる。Create Apple ID を選択してContinueを押そう(画面2)。