WindowsMobileは、組み込み製品向けのリアルタイムOSであるWindows CEをベースに、携帯機器向けのアプリケーションがパッケージングされたソフトウエアの総称である。基幹システム連携を考えれば、当然ながらマイクロソフト製品との親和性が高いWindowsMobile搭載のスマートフォンに一日の長がある。

マネジメント環境の整備が進む

 WindowsMobileは、組み込み製品向けリアルタイムOSであるWindows CEをベースに、携帯機器向けのアプリケーションがパッケージングされたソフトウエアの総称である。電話機能に特化した「WindowsMobile Standard」のほか、PocketPCベースの「同Professional」、Professionalから電話機能を省いた「同Classic」の3種類がある。

 最近注目されているのが、スマートフォンが持つポリシー管理やセキュリティ管理の機能だ。Windows Mobile 6.1以降のOSを搭載する端末では、マイクロソフトが提供する「Microsoft System Center Mobile Device Manager 2008」や、ISV(独立系ソフトベンダー)の製品を使うことで、管理者が遠隔地から端末上にある情報を消去したり、カメラ機能や利用アプリケーションを制限したりできる。

 これらの機能は、通信機能が常時有効になっているスマートフォンならではの利点である。利用者が電源をオン/オフしているパソコンでは、その実現は難しい。

 従来、モバイルデバイスを用いて基幹システムと連携する仕組みを構築する場合、応答時間がかかるフォームのコミットやレンタリング、SQL処理などが課題なっていた。モバイル端末においては、通信圏外(オフライン状態)から圏内(オンライン状態)に復帰するたびに、同じ作業を再実行しなければならないからだ。

 そのため、業務システムとしての現実的な利用性は低いとされ、用途がデータの閲覧やダウンロードにとどまっていた。加えて最近は、セキュリティ強化の観点から、データのモバイルデバイスへのダウンロードは好まれない傾向が強くなっている。

クラスライブラリを活用できる

 しかし、こうした課題は、Windows-Mobileにおいては、急速に解消されつつある。モバイルアプリケーションを「ASP」や「ADO」などの .NET環境で構築できるためだ。これらのクラスライブラリを利用すれば、データベース連携は、パソコン同様にRPC(Remote Procedure Call)としても利用できる。

 XMLも扱えるため、モバイル環境であっても、システムとしてのRASIS(信頼性、可用性、保守性、保全性、安全性)を一定水準で確保した設計が可能になる。

 さらに、WindowsMobile上では、リレーショナル・データベースSQL-Serverのモバイル版である「同Compact Edition」を利用することもできる。在庫管理や納品時期確認といった、よりリアルタイム性が求められるアプリケーションを構築する際に、スマートフォン側にもデータベースを持てることになる。

 SQLServer Compact Editionの開発手法も、SQLServerとほぼ変わらない。既存のWindowsアプリケーションの開発スキルやノウハウを生かせる。

 ただし、基幹システム連携を図る際は、単に既存アプリケーションをWeb化してHTMLで操作するのでは不十分だ。オブジェクト化を図り、高度な処理を実現する必要がある。こうした設計思想は、資産管理やキャパシティプランニングのためにも重要な要素に成り得る。