心理学の世界に「返報性の法則」というものがあります。これは、「人は誰かに何かをもらったりするとお返しをしたい気持ちになる」という法則です。私はこれをよく使って人を説得してきました。

 例えば、お客さま側の責任者Aさんが私に何かを頼んでくると、自分の力でできる範囲のことなら、私は二つ返事で対応します。これが積み重なっていくと、Aさんの心には「積み重なった借りをどうしても返したい」という強い気持ちが生じます。この状態であれば、多少当方に有利な話でも,Aさんは「YES」と言ってくれます。プロジェクト・マネージャは、心理面にも留意して人を動かしていくことが必要です。

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図●累積した「貸し」がYESを引き出す
芦屋 広太(あしや こうた)
システムアナリスト/IT教育コンサルタント。SE、PM、システムアナリストとしてシステム開発・システム統合などを経験。この過程で調査・分析した内容を「ヒューマンスキル教育」としてモデル化。現場での教育、雑誌・書籍の発表、セミナー・研修に利用する。