もちろんユーザー企業が納得できるようなコストメリットを提示できなければ、そっぽを向かれてしまう。仮想化ソフトとブレードサーバーを組み合わせたソリューションでは、どれくらいのコスト削減効果があるのかを、ソリューションプロバイダへの取材を基に検証してみた。

 ここでは、120台のラックマウント型サーバーを外部のデータセンターに設置しているユーザー企業に対して、「仮想化ソフトのVMwareを使って、16枚のブレードサーバーに集約しリプレースする」と提案した場合を示す(図5)。

図5●サーバー統合によるコスト削減の提案例
図5●サーバー統合によるコスト削減の提案例
[画像のクリックで拡大表示]

 このユーザー企業の場合、ハウジング利用料金が960万円と多くを占める。

 ラック1台にサーバー30台を搭載しているとすると、120台のサーバーを4台のラックに収納できる。1ラック当たりの設置代金は、相場から考えて月額20万円とすると、月額80万円かかる計算だ。

 16枚のブレードサーバーに置き換えれば、どうなるか。日本ヒューレット・パッカードのサーバプロダクト・マーケティング部の木村剛氏は、「ストレージやネットワーク機器を含めても、1ラックの半分で余裕を持って収納できる」と言う。

 つまり、ソリューションプロバイダの営業担当者は、従来4台あったラックを0.5台に減らせるといった提案が可能だ。単純計算で月額の設置代金が従来の8分の1になる。「年間のハウジング料金は120万円と大幅に削減できる」とユーザー企業に提示できる。

新たに発生するコストの抑制策が重要に

 ハードやソフトの年間経費についても見てみよう。SI費用については、「案件によって料金に大きな差がある」(日本IBMの河合部長)ため、今回考慮しなかった。

 当然のことながら、これまで導入していなかった仮想化ソフトの費用が発生する。ここでは、標準的な購入形態を想定して、企業向けの「VMware ESX Server スタンダード版」(2プロセッサ向けで76万2000円)を16ライセンスと、運用管理ソフト「VMware VirtualCenter」(101万6000円)1ライセンス購入したとする。この場合、保守費を含めた年間の負担額は488万8000円になる。

 ハードウエア関連の費用は、増える可能性が高い。このユーザー企業は、ラックマウント型サーバーを導入してから5年以上たち、リース料の支払いを既に終えている。さらに、製品価格の15%に相当する保守料だけを支払っているとしよう。

 日本HPの木村氏は、「高性能型のブレードサーバー16枚とシャシーで、おおよそ1100万円。ストレージやネットワーク機器を合わせて1600万円ぐらいと見て問題ない」と言う。新たなハードウエアの保守料は、一般的に製品の10%である。

 こうしてハードウエアの購入価格と保守料の総額を5年で割ると、1年当たりのハードウエア支出は480万円になる計算だ。ハードのリプレース代をいかに抑えるかが、ソリューションプロバイダに求められそうだ。