運用管理コストやトナー節約ソフトを提案すると、IT支出を削減するために苦しんでいるユーザー企業は、「一体、いくら削減できるのか」と問い詰めるはずだ。営業担当者は、提案段階で定量的に投資対効果を示すことが求められる。

 本誌は取材を基に、印刷コストの削減ソリューションの導入効果を試算した(図3)。ここでは、勤務日数が240日の従業員1人が、1日にA4用紙白黒で15枚、A4用紙カラーで5枚を印刷することを前提にしている。

図3●印刷コストの削減ソリューションの導入効果の例<br><font size="4px">前提:1人が1日に白黒15枚、カラー5枚を印刷。年間の勤務日数は240日</font>
図3●印刷コストの削減ソリューションの導入効果の例
前提:1人が1日に白黒15枚、カラー5枚を印刷。年間の勤務日数は240日
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 A4用紙1枚の紙代は0.5円が相場。A4用紙1枚当たりで使用する白黒トナー代は平均して約3円、カラートナー代は約15円としている。

 となると紙代は、20枚/日×0.5円/枚×240日で2400円。白黒トナー代は、15枚/日×3円×240日で1万800円だ。これと同様の計算で、カラートナー代は1万8000円である。

 こうしたユーザー企業が運用管理ソフトを導入したと想定すると、ソリューションプロバイダの営業担当者は「従業員1人当たりの年間印刷コストを33%削減」と明示できる。削減額は1万200円だ。従業員が1000人の企業なら、約1000万円を削減できる。

 運用管理ソフトの集約/両面印刷機能を使えば、従来20枚だったのを4分の1の5枚にできる。考え方はこうだ。以前はA、B、C、DとA4用紙4枚で印刷していたとする。

 集約印刷でAとB、CとDといった組み合わせで、それぞれを縮小し、A4用紙1枚に収める。これで印刷枚数は2枚になる。さらに両面印刷によって、A4用紙1枚だけ出力すれば済むようにする、といった具合だ。

 トナー代は、集約印刷機能で半分になる。以前なら2面に分けて印刷していたのを、半分に縮小して1面に収めれば、「トナーの消費量もほぼ半分になる」(NECソフトの羽部マネージャー)からだ。

 運用管理ソフトの料金が新たに発生するが、大した負担にはならないだろう。製品により価格は数千~1万数千円である。ここでは6000円とした。

 もう一つのトナー節約ソフトの導入効果は、トナー消費量の設定値に応じて変わる。ユーザー企業がトナー消費量の値を70%にすれば、トナー代を30%減らせる計算だ。

 先の条件と同じ前提にすれば、白黒とカラーのトナー代は、1万800円と1万8000円の合計2万8800円の70%、つまり2万160円になる。新たに発生するのは、トナー節約ソフトの年間利用料金だ。運用管理ソフト同様、製品により価格は異なるが、4000円と見ておけば問題はない。

 「トナー節約ソフトを導入すれば、従来のトナー代を1人当たりの年間で4640円、16%削減できる」。営業担当者は、こう提示できる。