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 「創造的な仕事(クリエイティブワーク)」を進めるには、PCをはじめとする企業のオフィスシステムを、「いつでも、どこでも、誰とでもコラボレーションができる」姿に変えていく必要がある。こうした情報システムの構築に15年にわたり取り組んできた、コンサルティング会社シグマクシスの戸田輝信パートナーにオンラインによる短期集中講義をお願いした。講義内容に質問や意見がある方は、最後に用意したコメント欄に記入頂きたい。代表的な質問に戸田氏から回答してもらう予定である。(EnterprisePlatform編集部)

 グローバル化や価値観の多様化により、企業を取り巻く環境は急速に変化している。特に昨今の金融危機に代表されるように、何が起きるか分からない、今日の価値が明日も同様に同じ価値をもつのか分からないという状況の中で、いかに競争力を維持していくかということが、経営にとって大きなテーマになっている。

価値の創造という仕事は人間にしかできない

 今企業が注力すべきことの一つは、人間のもつ創造力や意思決定能力を最大化し、付加価値創造に結び付けていくことだろう。変化し続ける顧客ニーズをつかみ、予測不可能な社会環境もにらみながら、新たな価値を創造し続けていくという仕事は、人間にしかできないからだ。

 これまで仕事の過半を占めていた、各種手続きの受付確認や書類伝票の処理といったルーティンワークは、今や機械や情報システムの機能にとって代わられている。さらに、ビジネスプロセスのアウトソーシングという手法も登場し、特に労働集約型のプロセスは、より人件費の安い国や市場に集まる傾向にある。日本企業がルーティンワークに人財を投入する重要性は日に日に薄れてきている。すなわち、ルーティンワークを処理するために設計された「働き方」から社員を開放し、社員一人ひとりを「クリエイティブワーク」を通じた価値創造という仕事にシフトできる時代になっているのである(図1)。

図1●ホワイトカラーの仕事の変化
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 「クリエイティブワーク」とは、戦略や企画を生み出し、推進し、実行して価値を生み出していくことだ。まさに「創造する仕事」であり、複数の人間の知恵と経験、そして発想が組み合わさったときに、その価値が増幅する。一人でPCや机に向かって黙々と「作業」していてもクリエイティブワークにはならない。

 よって、社員の仕事を「ルーティンワーク」から「クリエイティブワーク」にシフトしようとするならば、あらゆる種類のコラボレーションが可能な環境が必要となる。当然、それをサポートする情報システムが欠かせない。必要な相手と必要な時に、どこからでも互いにコラボレーションが可能なワークスタイルの実現が求められる。

 「クリエイティブワーク」を推進する場合のコラボレーションの相手は、社内とは限らない。お客様やビジネスパートナーもその対象だ。社内であっても、自分の部門だけではなく、組織の壁を越えて相手は広がる。

 場所も必ずしもオフィス内には限定されない。同じ場所にいない社員同士でもコラボレーションできる必要があるし、遠く離れたビジネスパートナーやお客様ともつながる必要がある。自宅で作業に集中している人間と、オフィスで別の作業をしている人間同士がコラボレーションすることもある。