今日から「前向きで楽しいコスト削減のススメ」を書くことになった。ご存じのように戦後始まって以来の世界的な金融・経済危機にあり、IT(情報技術)をはじめとしてコスト削減は待った無しだが、どうみても楽しくはやれそうにない課題を楽しくやる序章から書かねばならないだろう。

 「楽しいコスト削減」とは、「無駄取り」を基本とするため、手順さえ間違えなければだれでもできること、「コスト削減=利益」が実感できること、必要なことには投資ができること、そしてだれも痛みを感じないことである。「前向き」はプロアクティブに取り組んでこそ可能になるので、例えばIT投資なら、ITを難しく考えないで取り組むための経営者や関係者の心構えを示している。

 そもそもITのコストが問題になりだしたのは、LANが普及して組織の全員が情報端末を持つようになったことと、そのようなワークスタイルから得られる投資対効果を経営者が感じられないことに由来するような気がする。しかし、情報産業の生産額推移を見れば分かるように他産業がほとんど横ばいか下降気味なのに対し、10年間で1.5倍以上の伸びを示している。これを見ても企業のITコストが増えていることは明らかである。

図●国内情報産業の生産額推移
図●国内情報産業の生産額推移
注)2000年価格とは、2000年の価格を基準にした「実質値」のことです。実質値は、価格だけでなく量も考慮して、価格(名目)の調整をしています。

 経営に必要なコストを負担することは経営者にとっても異存のないことだろう。しかし、無駄なコストは使いたくない。投資対効果が見えにくくなっている現状では無駄も隠れていて見えにくい。この無駄を掘り起こして削減していくのが「前向きで楽しいコスト削減」のポイントである。

 まず、ITコストはなぜ膨らんでいくのか?