搭載機器の広がりについてUQは,WiMAXの通信機能を搭載するパソコンの普及に期待している。田中社長は「無線LAN搭載パソコンが登場してから,4年後にはほとんどのパソコンが標準で無線LANを搭載した。WiMAXも同じスピードで搭載されていくだろう」と展望する。
試験サービスでは,USBドングル型やPCカード型の端末だけを提供するが,本サービスが開始となる7月には,WiMAXの機能を搭載するノート・パソコンが国内で登場する。
ノート・パソコンへのWiMAX内蔵は,CPUやチップセットで支配的なシェアを持つ米インテルが牽引する。同社は2003年から「Centrino」というブランド名称でノート・パソコンへの無線LAN内蔵を推進し,市場の拡大に成功した。現在では無線LANが当たり前の機能となり,もうそれだけではユーザーの目を引き付けられない。そこで無線LANに続く付加機能として,WiMAXに焦点を当てたのだ。
既にインテルはWiMAXと無線LANの両機能を搭載したモジュールを開発済み(図1)。海外では2008年秋には東芝や中国のレノボが搭載パソコンを発表した。ソニーやパナソニックも2009年の投入を予定している。国内向け製品としては「まず携帯性に優れたB5サイズのノート・パソコンで上位モデルが搭載していく」(インテル マーケティング本部の梅野光ネットワーク・プロダクト・マーケティング・マネージャー)見通しだ。
パソコンに機能を内蔵しやすいという点も普及の一助となりそうだ。インテルはWiMAXモジュールを従来の無線LAN用モジュールと同サイズで設計している。パソコン・メーカーは構造を大きく変更しなくても,モジュールを容易に組み込める。一方,3Gのデータ通信機能をパソコンに実装するとなれば,SIMカード・スロットを用意するなど,機器の作り込みや追加の部品コストが必要となるという。
国内外でWiMAXサービスが広く普及し,搭載パソコンが増えていけば,大量生産による制御チップなどの低価格化を期待できる。インテルは無線LANとWiMAXの機能を統合した制御チップを開発するなど,技術的な改良によるコスト削減も進めていく。
いずれWiMAXの機能は,パソコン関連機器以外にも広がっていく。UQは,2010年以降には家電などへの搭載が進むと予測する。USBドングルやPCカード型端末を製造するメーカーは「今後は組み込みモジュールを開発し,カメラやカーナビなど非PCへの搭載を進める」(NECアクセステクニカの小笠原弘道ソリューション開発本部グループリーダー)と積極的だ。
消費電力について,WiMAXモジュールは無線LANと比べて大差はなく,携帯機器や家電に組み込むための障壁は少ないという。