UQ WiMAXが使う2.5GHz帯の電波は,鉄筋コンクリートの壁による減衰が大きい。ビル内では,窓から数mも離れると通信しづらくなることもあるという。そこで,空港など公共の場を中心に,小型の屋内用の基地局(写真1)の設置を進めていく。「既に東京駅は地下通路などを含め,構内全域で通信できるようにした」(UQの要海敏和ネットワーク技術部長)。

写真1●モバイルWiMAXの基地局
写真1●モバイルWiMAXの基地局
右がUQコミュニケーションズの第1号基地局。左は幅25cmと小型の屋内用基地局。どちらも韓国サムスン電子が開発した。

 家庭やオフィス内でもWiMAXサービスを快適に利用したいという要望に応えるために,屋外で受け取った電波を増幅し,室内に向けて発信するリピータを準備している。リピータの利用許可については総務省と協議中であり,2009年末にはリピータを実用化できる見通しという。

 こうした屋内で使う電波が,屋外の電波と混信しないように,UQは周波数帯を使い分けている。WiMAX向けに利用の許可を受けた30MHzの周波数幅のうち,20MHzを屋外用,残りの10MHzを屋内用としている。

基地局の小型化でコスト削減

 料金については月額料金を定額4480円として,既存の3Gサービスより安く設定した。料金を引き下げられた要因には,基地局など設備を構築する際の低コスト化がある。

 バックボーンはすべてIPネットワークで構築し,汎用のサーバーやルーターを導入した。データ通信に特化しているため,「緊急通報など電話サービス向けの設備も必要ない」(UQの坂口肇マーケティング戦略部長兼建設部副部長)。

 工事費を削減するために,基地局の小型化も進めた。基地局は韓国サムスン電子製だが「UQが回路の消費電力を下げる要素技術の開発を手がけ,電源など付帯設備や冷却ユニットを小さくできた」(UQの要海ネットワーク技術部長)という。

 利用者の視点に立つと,3G携帯電話に比べて狭い通信エリアにもかかわらず,4480円の月額料金は高いという声もある。これに対してUQは「通信速度を考えれば,十分に安い価格と認識しているが,今後は多様な利用形態に適した料金プランの提案も検討する」という。