1990年代以降、韓国政府が段階的に進めてきた各種の規制緩和策や、業務における情報化事業は、法人向けの行政サービスの質的向上にそれなりの効果を上げてきていた。とはいえ、中央省庁間の壁があることや、企業への許認可の申請手続きなどで、企業の実務担当者は、異なる行政サービス窓口を何度も訪ねなければならない不便を味わっていた。

 また一方で、行政機関に存在する、企業にとって有益な産業情報や支援サービスなどが複数省庁に分散していたことや、広報不足などの原因で、十分活用されていないケースが多かった。関係情報が体系的に管理されていないことは、正確性などの確認に手間取る原因にもなっていた。

 正確さとスピードを求められる企業の競争力を削ぐ要因に、行政の非効率が挙げられ、「正確な情報をできるだけ素早く入手、活用できるように」と、政府に求める産業界の苛立ちは高まっていた。

 政府が企業のビジネスのライフサイクル全体を支援する、単一化されたオンライン窓口(Single Window)の構築を急いだ背景には、こうした動向があった。そうして出来上がったのが2005年9月にスタートした企業支援ポータルサイト「G4B」である。

 G4B事業の推進目標として高らかに掲げられたのは、「世界最高水準の情報通信インフラ=企業支援ハブ・ポータルを基盤に、時間や場所を問わず、円滑な企業活動を行える国づくり」である。

 G4B推進事業の中身は、

  1. 企業民願行政サービス
  2. 産業情報サービス
  3. 基幹網連携サービス
  4. 付加サービスおよびポータルサービス

の4つに区分できる。

 「企業民願行政サービス」は、手続きごとの詳細な案内サービスと、オンラインでの民願処理連携サービスからなる案内サービスは、企業からの多岐にわたる依頼や申し出を対象に、約1600の業務プロセス連関図(マップ)と、それに基づく個々の企業ニーズに適した情報を一覧化している。オンライン民願処理連携サービスは、国民向けのオンラインサービス窓口である「電子民願(G4C)サービス」をはじめとする各省庁のオンライン民願処理システムと、G4Bを連携させることによって、約140種類の依頼受付、進行状況の照会や結果通知を実現した。

 「産業情報サービス」は、サイト連携を通じて収集された情報を業種別や経営テーマ別に分類し、関連する支援金や統計データなどの情報を提供する。統合検索機能、検索用語辞書、コンテンツの品質管理体系などを盛り込み、企業が使いやすいように設計されている。品質管理体系における活動としては、(1)コンテンツに対する使用者評価の実施及び評価結果の活用、(2)連携機関の連携形式の標準化、(3)有料情報の拡大開発のための提携活動などが行われている。

 「基幹網連携サービス」では、調達、租税、4大保険(雇用保険、労災保険、健康保険、厚生年金)、国防調達など、政府が主導する4大基幹網とG4Bとのサービス連携を行った。その上で、各基幹網の情報サービスや事務処理連携サービスを、G4Bポータルからも利用可能にした。

 付加サービスおよび、ポータルサービスでは、企業に勤める従業員の経営スキルを高めるための教育手段を提供している。業種業態に応じた無料のビデオ講座や、民願処理事例を踏まえたトレーニングプログラムなどを提供する。企業間における情報交流を促すコミュニティサイトやブログも用意。経営に関する情報交換やサイト利用によってポイントを蓄積でき、そのポイントを利用すれば、無料で企業の広報活動を行える仕掛けを作った。