NTTドコモやKDDI,ソフトバンクモバイルなど173の団体・個人が参加する「安心ネットづくり促進協議会」が,2009年2月27日に正式発足した。この協議会の中心メンバーとして参加するある会員は「この協議会の取り組みがうまくいかなかった場合,コンテンツに対する規制が強化されるのは間違いない」と強い危機感を募らせている。

 同協議会発足の背景には,若年層を中心としたインターネット関連のトラブルの増加と,その対策として2008年6月に成立した「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」(青少年インターネット環境整備法,4月1日施行)がある。

 2月27日の会見で,同協議会の会長を務める鷲田清一・大阪大学総長が語っていたように,同整備法は当初「ネット規制法」と言われていた。若年層に有害とされる情報を規制によって抑え込もうというのが当初の方針だったのである。この方針にはコンテンツ・プロバイダが反発。結局,民間の自主的な取り組みに期待する内容に落ち着いた経緯があった。それを受けて,自助努力を掲げる同協議会の発足に至った,というわけである。

 ところが,規制推進派がこれで完全に納得したわけではないようだ。協議会の取り組みがうまくいかないとなれば,「それ見たことか」と再度規制強化を訴える腹積もりなのだという。「18歳以下の携帯電話利用は全面禁止」を真剣に訴える規制推進派もいる。そうなれば,多くのコンテンツ・プロバイダは壊滅する。ネット犯罪の増加を食い止める一方で,規制強化も懸念する。コンテンツ・プロバイダの心配は尽きない。