厳しい不況でも、NTTデータやNECネッツエスアイ、日立情報システムズなど、2009年3月期(2008年度)の通期業績予想で最高益を予想しているSIerが存在する()。これらの企業を分析すると、「不況に強い」ソリューションプロバイダ像が見えてくる。

表●2009年3月期決算で増収増益で最高益を見込む主なソリューションプロバイダ
表●2009年3月期決算で増収増益で最高益を見込む主なソリューションプロバイダ
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 業界最大手であるNTTデータが最高益を更新する理由は、相次ぐ企業買収による連結子会社の拡大だ。2008年度はNTTデータCCS(旧セントラル・コンピュータ・サービス)、NTTデータMSE(旧パナソニックMSE)などが、連結収益の拡大に寄与した。売上高1兆1200億円(前年同期比4.2%増)、営業利益1050億円(9.5%増)を見込む。

 成長市場の製品・サービスを持つ企業も強い。通信事業者のシステム開発を手掛けるアルファシステムズは次世代ネットワーク(NGN)関連のシステム受注を堅調に伸ばし、売上高で前年同期比6.9%増の270億円、営業利益で10.4%増の37億円を見込む。「通信キャリアは直接、不況の影響を受けていないことも大きい」(同社広報)。

 金融業のディーリングシステムに強いシンプレクス・テクノロジーは8期連続の増収増益を予想する。大口商談が途絶えなかったほか、FX(外国為替証拠金取引)関連システムの需要が旺盛だった。売上高で前期同期比41.4%の増115億円、営業利益で前期比20.6%増の25億円を見込む。

 特定顧客の運用サービスを主力にする企業も、不景気に業績が左右されにくい。「運用サービスが年間売上高の6割」(同社広報)というパナソニック電工インフォメーションシステムズがその好例だ。売上高で415億円(前年同期比6.2%増)、営業利益で51億円(同3.6%増)の最高益である。

 地道にコスト削減を続けてきた努力が報われた企業もある。NECネッツエスアイは2004年度からコスト改善活動「AC-I」を推進。原価率を04年度の89.1%から86.2%に低減させた。「コスト削減策というと外部委託先のカットのように聞こえるが、当社はパートナー企業とともに業務効率化を進めてきた。4年たって、かなり筋肉質になった」(末松俊彦コーポレートコミュニケーション室長)と言う。

 08年度からは各事業のコスト削減だけでなく全社的なプロセス改革を進め、もう一段の効率化を図る。売上高が前年同期比2.6%増の2650億円、営業利益が同2.4%増の110億円になる予想だ。

■変更履歴
2段落目に「NTTデータMSE(旧パナソニック・モバイル・コミュニケーションズ)」とありましたが、 「NTTデータMSE(旧パナソニックMSE)」の誤りです。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2009/04/02 14:00]