ソリューションプロバイダが属する情報・通信業で、2008年の新規株式公開(IPO)は11社だった(図)。2007年は21社である。2008年に上場した企業を全体でみると49社。2007年に比べ6割減と、2001年以降で最低の水準である。
情報・通信業のうち、法人向けのシステム構築関連事業を主力とするソリューションプロバイダだけで見ると、IPOは5社。2007年に新たに上場したソリューションプロバイダが17社だったのと比べ、およそ7割減ったことになる。
「現在、株式市場が不安定なこともあり、上場する企業が業種業態を問わずに減っている」。ドイツ証券の菊池悟株式調査部ディレクターシニアアナリストは言う。
ソリューションプロバイダ5社のうち、売上高100億円を超える企業は1社だった。2008年10月に東京証券取引所2部に上場した、独立系SIerの電算システムだ。2007年12月期の売上高は160億円である。
同社は2008年12月、SAPジャパンや富士ゼロックス情報システムなどと協業することを発表。今後、中部地区の中堅企業向けに、SAP製ERP(統合基幹業務システム)パッケージソリューションを強化する。岐阜県で1967年に設立され、既存の顧客地盤を生かし、事業の拡大を狙う。
電算システムに次いで売上高が大きいのが、インターネット関連サービスを手掛ける年商33億円のネットイヤーグループである。2008年3月6日に東証マザーズに上場した。
残る3社は、売上高が20億円前後の企業である。その1社が2008年5月に東証マザーズに上場したプライムワークス。2004年に設立され、Webシステムの開発を得意とする若い企業である。
このほか、携帯電話向けのシステム開発に強みを持つテックファームや、サーバーのハウジング/ホスティングサービスを手掛けるpaperboy&co.が上場した。
2009年は当面、不況が続きそうである。ソリューションプロバイダの上場企業数が、2008年よりも減る可能性はある。