「不況を乗り切る」をキーワードにしたソリューションやサービスが、2009年1月から相次いで登場している。IBMビジネスコンサルティング サービス(IBCS)と日本IBM、住商情報システム、リコーテクノシステムズなどが提供する。

 IBCSと日本IBMは2月17日、新コンサルティングサービス「緊急オファリング」を発表した。このサービスは、投資効果が見込める具体策を最短2週間で策定するものだ。

 提案内容は、コンタクトセンターの統合や輸送の最適化、M&A(企業の合併・買収)による事業統合など多岐にわたる。提案する際には、必ず損益計算書(P/L)に与える具体的な金額を示す。

 「2009年度のP/Lで数字として効果を出せなければ意味がない」とIBCSの金巻龍一パートナー専務取締役は言い切る。まずは、既存顧客に提案する。

 住商情報システムは、情報共有システムの構築サービスを刷新した。「コスト削減や業務効率の向上が不況を乗り切るうえで重要なのにもかかわらず、情報共有はメール中心で効率化されていないところが多い」(佐藤利宏基盤インテグレーション第2部シニアマネージャー)との考えからだ。

 対象になるのは、マイクロソフトの文書共有ソフト「SharePoint Server」などを利用する情報系システムだ。導入効果を高めるために、要件定義前に、ユーザー企業のIT部門や利用部門に対して、1カ月間、ワークショップを開催する。佐藤シニアマネージャーは「ワークショップを通じ、既存の情報共有プロセスのムダを理解してもらう」と話す。住商情報システムは、企業規模や業種を問わず、1年で30社の獲得を狙う。

 リコーテクノの「ネットビジネスソリューション」は、ECサイトの営業活動に関する業務フローを実行するシステムを構築し、運用するサービス。20種類弱の業務パターンを用意している。

 リコーテクノがターゲットにするのは、ECサイトを運営する中堅・中小企業だ。同社が調べたところ、中堅・中小企業の多くは、サイトへの集客にだけ注力しているという。「中堅・中小企業は、既にぎりぎりまでコストを削減している。今、重要なのは、売り上げの拡大だ。営業活動の業務フローを整備するだけで、売り上げを伸ばすことができる」と吉川洋美マネージドビジネス戦略グループリーダーは語る。

表●「不況を乗り切る」をうたい文句にした主なソリューションやサービス
表●「不況を乗り切る」をうたい文句にした主なソリューションやサービス
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