池田 輝久
エンパワー・ネットワーク プリンシパル

 朝早く,大工の棟梁が真っ先に建築現場に来て,弟子たちが仕事の準備をするのをたばこを一服しながら眺めている場面を目にしたことがあるだろうか。同じことが,プロのエンジニアにも求められる朝一番の行動である。

 どんなに優秀な技術者でも,日中の忙しい時間帯に,冷静に仕事の段取りを考えることは難しい。1日のスケジュールと内容,注意しなければならないチェック・ポイント,社内やユーザーの上層部への提言,部下の心配事への配慮,上司への根回し,予算とコスト,協力会社への指示──。手帳にメモした仕事を数え上げたら切りがない。次々に出社してくるチームのメンバーたちに適切な指示を与えたり,仰いだりもしなければならない。

 これらをどうこなしていくか,プロはじっくり考える時間を持つものだ。そのためには,朝一番の落ち着いた時間を活用して,ゆっくり考えるとよい。誰にも邪魔されない早朝の時間を使わない手はないだろう。

 早朝から仕事に取り組む姿勢は,社内のほかのメンバーにもよい影響を与える。自分が相手にしているユーザーからも「頑張ってるな」「信頼できるな」という高い評価を得られるに違いない。

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