米Appleの幹部は2009年3月17日(米国時間),2009年半ばにリリースする予定の次期モバイルOS「iPhone OS 3.0」について,小さな機能変更を大量に施すと発表した(関連記事:Appleの新モバイルOS「iPhone OS 3.0」は夏に登場,コピー&ペーストが可能に)。ただし,情報を出し惜しみする同社の姿勢はこれまで通りだった。しかも,うわさの新型「iPhone」やタブレット/ネットブック版「Macintosh」を発表せず,期待を完全に裏切った。さらに,Flash対応やモデム化といった待ち望まれている機能の多くについてのコメントも避けた。

 Apple上級副社長のPhilip Schiller氏は,「iPhone OS 3.0はiPhoneのユーザーと開発者に素晴らしい新機能と革新をもたらすメジャー・アップデートだ。これで,今後もライバルOSに数年の差をつけられる」と述べた。この中の最後の発言が,Appleの立場を如実に物語っている。つまり,実際の提供よりもかなり早い段階でiPhoneの新機能を紹介したのは,米Palmの新型スマートフォン「Palm Pre」から注目を奪う意図があったからのようだ(関連記事:Palm,新ソフト基盤「webOS」と同基盤を搭載した携帯電話機「Palm Pre」を発表)。

 iPhone OS 3.0では,2年前に初代iPhoneが発表されてからずっと切望されていたコピー/カット&ペース機能が,やっと搭載される(この機能は,30年前の原始的なパソコンですら備えていた)。また,iPhone同士を無線接続して対戦ゲームがプレイできるようになる。今さらだが,2009年中に情報プッシュ配信サービスが始まるという。iPhoneおよび「iPod touch」の接続ポート経由で外部アクセサリと通信するためのAPIも公開される。そのほかに,メール/メッセージ・アプリケーション画面の横長表示といった小さな機能改良が大量に施されるものの,いずれもiPhone登場からの2年間で寄せられた不満に対応するものだ。

 この発表で知ることができなかったのは,以前から話題になっているタブレット版Macの計画だ。うわさによると,iPhoneか既存Macをベースにした,9インチまたは10インチのタッチスクリーンを備えるマシンを開発中であるという。Appleはタブレット版Macを2009年第3四半期に発売し,ネットブック代わりのモデルとして展開するとみられる。

 同社は第3世代iPhoneにも触れなかった。こちらは,99ドルというiPhone 3Gの低価格版とメモリーのサイズが32Gバイトの上位版が間もなく発売される,とうわさされている。また,iPhone用WebブラウザのFlash対応についても口を閉ざした。その一方,iPhoneをパソコン用の(比較的)高速なモデムとして使えるようにする機能については,作業進行中という話を否定しなかった。