プロのチームは,特別なスキルを持つ限られたメンバーの集団ではない。彼らは誰にでもできる行動パターンを習慣的に実行しているだけである。多くのITエンジニアを育ててきた池田氏に解説してもらう。

池田 輝久
エンパワー・ネットワーク プリンシパル

 今,米国のIT企業で注目されるキーワードに「Trusted Advisor」という言葉がある。プログラマ,SE,CE,プロジェクト・マネージャ,ITアーキテクトといった職種にかかわらず,すべてのITエンジニアが目指すべき“プロとしてのあり方”を示したものだ。

 直訳すれば「信頼される助言者」ということになるが,この言葉にはエンジニアに対する二つの問いかけが含まれている。

 一つは,Advisorという言葉に含まれる「あなたはユーザーに尽くしているか」という問いかけ。自分がAdvisorであるということは,主役はあくまでもユーザーである。自分が成果を上げることが目標なのではなく,自分が開発・運用するシステムのユーザーが成果を上げることを目標として掲げなければならないのである。

 もう一つは,Trustedという言葉に含まれる「あなたはユーザーに信頼されているか」という問いかけだ。無用なトラブルを起こしてしまったり,トラブルが起きたときにあたふたしたりするようでは信頼されない。

 プロの現場を自任するには,この二つの問いかけに「Yes」と答えられなければならない。ここでは「ユーザーに尽くす」「ユーザーに信頼される」エンジニアに共通する行動パターンを紹介する。

 いずれも,特殊な技術や知識は必要ない。ちょっと意識すればどんな人でもできるにもかかわらず,多くのエンジニアが実践できていないことだ。出社してから帰宅するまでのわずかな行動の違いによって,プロと,プロと呼べない人の差が生まれる。できれば自分だけではなく,チームとしてこれらの七つの行動パターンを日々実践し,習慣付けてほしい。