写真1●凸版印刷利用のデータセンター内にあるサーバー・ラック
写真1●凸版印刷利用のデータセンター内にあるサーバー・ラック
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 印刷事業者がデータセンター関連ビジネスを展開していると聞くと,一見奇異な感じがするかもしれない。しかし,考えてみれば印刷事業者というのは,顧客にデータを預けてもらうところから始まるビジネス。その出力先が昔は紙媒体だけだったものが,今はインターネットという選択肢も増えたということなのだ。

トータル・ソリューションの一環として

 凸版印刷が「TOPICAサービス」の名のもとに提供しているのは,顧客のWebサイト運営を支援するためのトータル・ソリューション。データセンター施設は他社の設備を利用しているものの,サーバーや回線,ネットワーク・ファシリティを用意し,Webサイトのコンサルティングからコンテンツ制作,アプリケーション提供,サーバーの運用・監視までを幅広く手がける(写真1)。その中の一メニューとして,ホスティング・サービスやハウジング・サービスをラインナップしている。

豊富に用意するSaaSメニュー

 サービスの中核を担うのは,「MemberBox」と呼ばれるWebサーバーとデータベース・サーバーの共用・専用ホスティング・サービスだ。セキュリティの脆弱性排除と可用性を考慮してオープンソース・ソフトウエア(OSS)を採用,それも管理ツール,バックアップ・ツールなどミドルウエアまで提供するため,顧客はアプリケーションを用意するだけで済む。

 また,SaaSのメニューも複数用意している。PCや携帯電話を使ったアンケート・キャンペーンを実現する「MemberBox for キャンペーン」,データベース連動型メール配信システム「メールパブリッシャー」,グループウエアの「サイボウズOfficeセキュアASP」,メールサーバーの「ポストオフィス」,オンデマンドのストリーミング配信サービス「ストリーミング」,ECサイトを構築できる「MemberBox for EC」といった具合だ。

 これらのプラットフォーム上で動かすコンテンツに関してもノウハウが豊富だという。同社の磯田大介氏(情報コミュニケーション事業本部 ITセンター IT開発本部 iDCビジネス部 トピカ販売)は,「例えば懸賞応募サイト構築なら,購入顧客だけが応募できるパターン,ポイント獲得高で抽選が可能になるパターンなど,ニーズに応じたきめこまやかな提案が可能」と語る。

セキュリティ認証基準を取得済み

 TOPICAサービスでは,セキュリティの高さを非常に重視している。通信回線やハードウエア周りについてはすべて二重化して冗長性を確保。サービス開始当初からセキュアな運用を心がけており,まだバージョンが0.8だったISMS(情報マネジメントシステム)の認証を,2001年12月に取得。現在は,ISO27001の認証を取得している。

 「ISMSは,印刷業界の中で最も早く取得した。顧客のデータやソフトウエア,ハードウエアは重要な情報資産なので,それらを情報漏えいや改ざん,不正利用から保護することは重要な使命と考えている」――同社の南波佐間さくら氏(情報コミュニケーション事業本部 ITセンター IT開発本部 iDCビジネス部 トピカ販売 主任)は,取り組みの背景をこう語る。

 同社の山口裕介氏(情報コミュニケーション事業本部 ITセンター IT開発本部 iDCビジネス部 トピカ販売 係長)によると,市場のニーズに応えた新たなサービスも検討中という。「ロード・バランサーやストレージなどを共用化して,ローコストなサービスを展開したい」(山口氏)。

基本情報
●名称:ソリューションデータセンター TOPICAサービス
●場所:東京都23区内(都内2拠点で展開)
●最寄り駅:要問い合わせ
●料金:要問い合わせ
■変更履歴
SaaSのメニューとして,ECサイトを構築できる「MemberBos for EC」としていましたが,正しくは「MemberBox for EC」です。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2009/04/02 13:45]