写真1●リンクの東京データセンター
写真1●リンクの東京データセンター
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 まるまるサーバー1台を専有できて月間利用料は1万9950円から。それもZERO!SATA モデルと呼ばれるエントリ・クラスの機種ならば初期費用も無料。その一方で,マシンのスペックを上げたり,フルカスタマイズを施したり,サーバーの性能に凝ることもできる。こういったコストパフォーマンスの高さと自由度を特徴とするのが,リンクの「AT-LINK専用サーバ・サービス」だ。

コストパフォーマンスと自由度にフォーカス

 AT-LINK専用サーバ・サービスは,富山県の富山データセンターと,東京都内の東京データセンター(写真1)の2拠点(データセンター施設は他社のものを利用)で展開するホスティングのサービス。“これからはインターネットの時代”と意気投合した東京の広告制作会社と富山のPCメーカーが協業してはじめたサービスである。前者が営業や入出金管理などのユーザーフロントを担い,後者がマシンの構築,リモート・サポート,ネットワーク管理などの技術フロントを担当する。ちなみに価格はサービスインした12年前から1万9000円だった。

 「当社は資本もなく知名度もないので,やるなら最初から突出したことをやらないと勝負にならない。後にドメイン取得料無料,Red Hat Enterprise Linuxの無償提供を実現したのも弱小集団だからこそ。画期的なことをどこよりも先にやろうと考えた」――リンクの岡田元治氏(代表取締役社長)は同社独自のこだわりについてこう語る。

ハードウエア障害には完全無償で迅速対応

 2009年2月現在,AT-LINK専用サーバ・サービスにおけるサーバー提供実績は8500台を超えるが,同社のビジネスが伸びた理由は価格だけではない。サポートが魅力なのだ。24時間365日の死活監視とハードウエアに起因する障害に関しては完全無償。しかも,中身を知り尽くしているPCメーカー自体がことにあたるから対応も迅速だ。

 加えて,同社は顧客のことを考えて自ら動く。例えば,顧客のオンライン・サービスがソフトウエア障害か何かが原因でダウンしてしまった。顧客とは連絡がとれない――という状況になったときどうするか。普通なら,設備を提供するデータセンター事業者としては,それ以上手を出さないだろう。しかし,リンクはあえて一線を越える。顧客に代わって,バックアップのディスクからデータを戻すなど対処し,サービスを復旧させる作業をやってしまうのだ。

 取締役営業部長である眞神克二氏は「100社あれば1,2社は,“復旧までは頼んでない,勝手に触るとは何事か”と抗議してくるかもしれない。しかし,サービス停止という最悪の状態から早く脱した方が顧客にとってもいいはず。顧客が少しでも安心できる可能性があるならやる,というのが当社の“サービスマインド”だ」と語る。

ワンモア・ポイント
 同社は仮想化技術をベースにしたサービスもすでに始めている。「POWERFlex」という名称で,CPU1コア(Xeon E5405 2.0GHzを共有),メモリーは1Gバイト,ハードディスクは40Gバイトという基本スペックを,月間利用料が4万950円~(共用回線の場合,初期費用別)で提供する。「チケット販売やキャンペーンなど,決まった時期にアクセスが集中するサイトに向く。アクセス状況に応じてコアやメモリーを増設するなど当社スタッフが能動的に動く。一瞬の変動なら価格も柔軟に対応する」と同社の中島弘基氏(AT-LINK専用サーバ・サービス サービス開発マネージャ)は説明する。

基本情報
●名称:AT-LINK専用サーバ・サービス
●場所:富山県富山市(富山データセンター),東京都江東区(東京データセンター)
●最寄り駅:JR富山駅(富山データセンター),ゆりかもめ国際展示場正門または,東京臨海高速鉄道りんかい線国際展示場(東京データセンター)
●料金:サーバー1台の月額利用料金1万9950円~(初期費用別,サーバーの機種による)
■変更履歴
「サービス・サーバーと呼ばれるエントリ・クラスの機種」としていましたが,正しくは「ZERO!SATA モデルと呼ばれるエントリ・クラスの機種」です。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2009/04/01 11:40]