今回も女性アルバイトの鶴橋さんとの会話から,2009年2月によく売れたコンピュータ書を見ていきましょう。

「今月ご紹介する新刊は,晋遊舎から刊行されました新書サイズの『頻出ネット語手帳』。あ,この晋遊舎って社名,けっこう読めない人いるんだけど,鶴橋さんわかる?」
「ちょwww,おまwwww。『しんゆうしゃ』でしょ,小林さん,なにその上から目線。自重汁!」
「というように,ネットで多用されている一種独特な表記や表現を一冊にまとめたものですね」
「解説乙。ってそれ,解説ってレベルの話じゃねーぞ!」
「ご紹介するのに気が引けるほど,このように大変お行儀の悪い言葉ばっかりなんですが,でもけっこう面白かったです。『新しさ』の持つ軽薄さと魅力を同時に感じさせてくれると思うよ。しかし読んでみると,ちょっとHなのもありますね」
「えっちなのはいけないと思います! てか,オサーンの見るところは結局そこかい。orz」
「個人的に,日常生活には全く必要のない知識だと思うんですが,序文を読むと『ネット語は修得必須の言語。これを理解できていなければ,今後のネット社会を生きていくうえで死活問題といっても過言ではない』とまで主張されています。さすがにそれはどうかな,という気もしますが」
「本屋が本に文句を言(ry」
「いやあ,しかし鶴橋さん,お願いだから次のカウンター時間までに,テンションを平常レベルに戻しておいてね。それじゃお客様のお相手ができないから」
「サーセンwww,だが断る」

「さて,2月のベストです。1位は先月に続いて日経BP出版センターの『システムはなぜダウンするのか』。ワゴン販売が外れてからも,平台で順調に売り上げを伸ばしています」
「2位が,その後にワゴン販売が始まった東洋経済新報社の『クラウドの衝撃』ですか」
「実は販売冊数では『なぜダウンするか』とまったく同数だったんだけど,こちらの方が金額が低いので2位になったわけ」
「あれ,3位もクラウド関連ですね。先月2位だった朝日新書の『クラウド・コンピューティング』」
「ベスト10には出てこなくても,このところ『クラウド』に関する本が次々と出てきてるね」
「6位もインプレスコミュニケーションズの『クラウドコンピューティング入門』,これも新書・・・」
「最近出た『クラウド』関連本だと,創元社からは『クラウド・ビジネス入門』,技術評論社からは『クラウドコンピューティングの幻想』と・・・」
「クラウド祭りっすか?」
「そういう言い方をすると何か雨乞いの儀式みたいに聞こえるね。まだまだクラウドで出したいという出版社さんの話も聞いているし。企画に新しい切り口が見えてこない状況で,このテーマに集中してしまったのだろうけれど,正直これ以上出ると,少々出し過ぎの感じは否めないな」

「さて,4位が青春出版社の『パソコンの重い・遅いがスッキリ解決する本』」
「これまた新書サイズの手軽な本で,去年よく売れた『たった3秒のパソコン術』の流れにある本だね」
「やっと書名に『パソコン』という言葉が出てきましたね」
「5位は先月3位だった東洋経済新報社の『ITロードマップ』。7位,IDGの『ITアーキテクト Vol.21』と8位,技術評論社の『WEB + DB PRESS Vol.49』は隔月で刊行されている雑誌だね」
「9位は日本経済新聞社の『応用情報技術者・高度共通<午前>問題集 2009年版』。これは,情報処理技術者試験の関連本だけど,試験関係の本があれだけ売れてベスト10に出てくるのがこれだけって,信じらんない!」
「まあ,試験関係はやたらと種類が多いからね。これ関連の書籍は今が売り上げのピークだから,鶴橋さん,とにかく売り切らさないように十分・・・」
「あ,先月と同じこと言ってる。はいはい,わかってますよ。10位がITIL関連では定番の売れ筋になった,ソーテック社の『ITサービスマネジメントの仕組みと活用』ですか」
「とにかく今年度はこの3月が最後だし,それでいて世の中は不況だし,ここはがんばらないと。ねえ,鶴橋さん,何か確実に売り上げを上げる方法,教えてくれないかな?」
「小林さんそれ,ググレ!」
注:アルバイトの鶴橋さんは架空の人物です。