日比谷花壇 川村秀一 常務取締役 情報戦略本部長兼ビジネスソリューション事業本部長

 花き大手である日比谷花壇(東京都港区)のCIO(最高情報責任者)相当職を務める川村秀一常務取締役は、社外の人に会いに行くことを重視している。川村氏はEC(電子商取引)事業と法人営業部門も兼任で統括しており、より大きなビジネス・チャンスをつかむためには、事業パートナーの発掘が欠かせないからだ。1カ月のおよそ半分は社外の人と会っているという。部下に対しても外に出るように発破をかけている。

 営業担当者に同行してほかの企業の現場に出向くと、「当社と同じようなアイデアを温めている方によく出会う」(川村常務)。こうして社外から協力を得ながら、IT(情報技術)を活用した新規事業をいくつも立ち上げてきた。

 その1つが、2006年に開設したウェブサイト「母の日コム」だ。「母の日=カーネーションの花」という固定観念は撤廃。他企業と提携しながら、旅行やレストラン、エステティックなど、様々な商品や情報を取り扱うサイトと位置付けた。「母の日に対する顧客の本質的なニーズは花を買うことではなく、母親を喜ばせること。そのような顧客ニーズを満たす情報を集めたサイトを作れば、結果的に花を販売するシーンも広げられる」(川村常務)と考えたのだ。

 オープン前には社内から「ほかの商品に流れて花が売れなくなるのではないか」「収支は合うのか」など、懸念や疑問の声も挙がった。川村常務自身も「多少の懸念を抱いていた」と正直に明かす。しかし経営トップの強力な後押しもあり、サイトを立ち上げることができた。

 懸念は無用の心配だった。順調に花が売れただけでなく、「多彩な顔ぶれの企業から提携の企画案が持ち込まれるなど波及効果が大きかった」(川村常務)。その中から、チョコレートと花のセット販売や、ディナークルーズと花のセット販売、エステと花を組み合わせたギフト商品などさらに多くの販売方法が生まれた。

Profile of CIO

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・『人を生かす』(稲盛和夫著、日本経済新聞出版社)

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・ゴルフ。2カ月に1回くらいの頻度で回っています。本当はもう少し高い頻度で行きたいです

・野球観戦。自他共に認める熱烈な巨人ファンで、ゴルフ場よりも高い頻度で球場に駆けつけています