米IP Devices代表
岸本 善一

 前回は電力事情を解決すべく地方に建設される巨大データセンターや都市部のデータセンターについて解説した。今回は,データセンターを評価する指標や規格化の動きについて述べる。

 米国で議論されているデータセンターの評価基準や評価方法は多岐にわたり,ここでその全てを網羅することはできない。代表的なものを図1にまとめてみた。現在のところ,(1)電力消費と(2)エネルギー効率に関するものに焦点が当たっている。

図1●データセンターの主な評価項目
図1●データセンターの主な評価項目
 現在は(1)電力消費と(2)エネルギー効率に焦点が当たっている。(3)のCUPSはデータセンターの処理能力を加味しようというもの。(4)は建物の省エネに着目したもの。このほか,施設からのCO2排出量や,機器の環境影響に注目する指標もある。

データセンターの設計・運営に重要な「単位電力」

 米国でのデータセンターの問題点は,主に電力消費量の増加による電力コストの高騰と電力供給の不安定さにある。冷却に必要なコストとスペースの不足も深刻だ。このため,電力消費の計測は,データセンターを評価するうえで最も重要な要素となっている。データセンター全体の総電力消費量のほか,ラックあたり,あるいは床面積あたりの電力消費量(単位電力)が指標として使われる。電力コストはもちろん,設計や運営にも必須の情報と言える。

 このうちラック当たりの消費電力は,以前は1kW程度だったが,最近は10kWから20kWに増え,中には30kWに達するものもある。こうした単位電力のデータは,データセンター全体の電力消費量を算定したり,冷却の手法を検討する際に利用される。ラックの数が想定できれば,総電力消費量も大まかに算定できるためだ。ただし,あくまでも大まかな指標である。

 一方,床面積(例えば平米当たり)の消費電力は,データセンターの設計時に,どれくらいの電力が施設全体で必要になるかを算定するために使用される。この指標の定義は5通りくらいあり,ITベンダー,データセンターの建築士,一般の定義などがそれぞれ異なっている。このため,どの定義を使うかが問題になる。このほか,建設されるデータセンターの延床面積を基に,データセンター全体の電力消費量を大まかに算定する方法もある。