NTTドコモが2008年度第3四半期決算の発表に併せて,メーカーに端末開発費の一部を負担する施策を検討中であることを明らかにした。金額は今年度で100億円。同社の山田隆持代表取締役社長は「メーカーの収益が悪化する中,端末の商品力を維持・向上させるため」と理由を話す。

 端末メーカー各社の第3四半期決算は,市場縮小と景気悪化の影響で総崩れの様相を見せている。かつては年間5000万台規模だった端末市場だが,2008年度は,3500万台程度にとどまりそうだ。具体的な支援策として,ドコモが端末メーカーに対して個別に要求しているソフトウエアについて,その開発費を負担するという。

 NTTドコモは端末分野とは別に,2010年度から導入を進める計画のLTE(long term evolution)の研究・開発についても,メーカーへの支援を検討している。「ドコモとメーカーの間でLTEの商用機器を共同で研究・開発しているが,ドコモがかかわる開発比率を上げる」(山田社長)という。

 NTTドコモは2008年,事業者に依存せずにどの端末も搭載する「グローバル・プラットフォーム」と,事業者固有の機能に対応する「オペレータパック」に分けて端末を開発することを発表。ドコモがリスクを取る部分を明確に分ける形になるため,「(ドコモが)端末メーカーを見限り,今後は端末全体に責任を持たないというメッセージ」と受け取った関係者は多い。だが予想以上のメーカーの苦境で,ドコモが責任を持つ部分を当初よりも拡大する形になる。

 山田社長は,「中長期的に見て,事業者とメーカーの関係がどうなるのか分からない」と話すが,日本の端末メーカーが事業者に頼らず独り立ちするのは,まだ先になりそうだ。