著者は日経コンピュータ編集部に在籍する現役記者であり,監修は日経コンピュータであり,登場する事例の大半は日経コンピュータに掲載されたものであり,この紹介文は日経コンピュータ編集長が書いている。本欄に掲載するのはルール違反かもしれないが,極力客観的に記述するのでご容赦いただきたい。

 題名の通り,本書は情報システムが起こすトラブルの原因を体系立てて説明したものだ。実際の障害は複数の原因によって起きる。本書は原因を「ソフト(アプリケーション,OS,ミドルウエア)の不具合」「性能・容量不足」「環境設定や変更,運用・操作ミス」「ハード故障や不慮の事故」の4種類に分け,それぞれの実例を挙げ,障害の仕組みを解説していく。

 情報システムの設計・開発・運用・保守を担うSEの方々が本書を読み進めば,「知っておきたい信頼性の基礎知識」を学べるはずである。CIOやシステム部長,できれば経営者や利用者の方が目を通せば,システム障害の全容がつかめるだろう。

 システム障害対策に王道はない。高度かつ複雑なシステムが抱えるリスクを一人でも多くの方が知っておくことが根本的な対策なのである。

システムはなぜダウンするのか

システムはなぜダウンするのか
大和田 尚孝著
日経BP社発行
2520円(税込)