2008年12月の「エコプロダクツ2008」に、カーボンフットプリント(CFP)付き商品の試作品が登場した。企業は、商品ライフサイクル全体のCO2排出量を表示することで、温暖化防止とともに商品力の強化を狙う。
CFP付き商品の展示は、経済産業省の「カーボンフットプリント制度の実用化・普及推進研究会」が主催した。味の素やイオン、花王など30社が参加、40種類54品目の試作品が並んだ。原材料の調達から廃棄まで商品ライフサイクル全体のCO2排出量を、新たに作成された統一マークで表示した。
イオンは1月に試験販売
イオンとサッポロビールは、2009年に試験販売を実施する予定だ。イオンは1月9~14日の期間、コメや充電池など7品目9種類のCFP付き商品を全国10店舗で販売する。
現在は、各社がCO2排出量の算定条件を個別に設定している。競合商品同士が比較できるような形でCFPを付ける場合、この算定条件が重要になる。
研究会は、今後、3年程度かけて、第三者機関による検証などを含めた制度を構築する。1月には、算定・表示方法の指針や商品種別算定基準(PCR)の策定基準を取りまとめる見込みだ。ISOの国際標準化も進んでおり、こちらと歩調を合わせる。本格的に制度が始まり、CFP付き商品が売られるのは2011年度以降になるとみられる。
英国では、政府が設立したカーボントラスト社が中心となってCFP制度を推進している。既に、実験的に販売も始まった。マークは2年ごとに更新する決まりになっている。CO2排出量を減らしていなければ更新できないため、マークを付け続けるにはCO2排出量を継続して減らす必要がある。
イオンの泊健守グループ環境・社会貢献部部長は、「CFPを付けることは、CO2を減らしていくと約束したことになる」と言う。企業は、商品にCO2排出量を表示することで消費者に環境に配慮している姿勢をアピールできる。さらに、コストを削減する狙いもある。行程ごとに詳細にCO2排出量を把握することで、無駄を見つけやすくなるからだ。
イオンは、輸送効率の向上などでCO2とコストを減らす考えで、値下げも視野に入れる。価格は、現時点でCO2排出量以上に大きな武器になるだろう。CFPは販売シェアを拡大できる可能性を秘めており、いち早く取り組む価値がありそうだ。