ソフトバンク・グループの次世代ネットワーク(NGN)は,まだ具体的な姿が見えない。しかし,その構想の一端をソフトバンクモバイル取締役専務執行役員の宮川潤一CTOに聞く機会があった。

 「次世代ネットワークに関して,僕は完全に統合論。一番大変なのは運用なんですよね。網が2面,3面あると,技術者が要りますから。だから1面化しようと考えています」。

 NTTのNGNとソフトバンクのNGNの違いはどこにあるのか。宮川氏は「NTTのNGNは1.2兆円もかかっているという。少なくともその10分の1以下で作り上げる,というのがソフトバンクの考え方」だとする。

 その低コストNGNを実現する肝がオールインワンの伝送装置だ。「GE-PON,ADSL,『おとくライン』用IPボード,それから基地局を収容するボードを1シャーシに入るように作らせた。地方には,ポンと1台置くだけでいい。一番コストがかかるのは場所代と電気代。運用費も設備投資もNTTのNGNとまったく違うものが作れるんですね」。

 宮川氏は,米シスコのジョン・チェンバーズCEOを直接口説いて新ルーター「ASR 9000」を作ってもらったという。他ベンダーにも同じ要求を出しており,3社のマルチベンダー構成にする考えだ。

 具体的な装置まで完成しているからには,ソフトバンク版NGNが日の目を見る時は近いのだろうか。「装置は作ったが,僕らは全国でいっぺんに展開できるほどお金を持っていない。少しずつ進めて,いずれはソフトバンク・グループのネットワークを統合しようと考えている」。

 なかなか意欲的なソフトバンク版NGNだが,姿を現わすのはまだ先になりそうだ。