アートネイチャー 執行役員 村田勝也情報システム部長

 システムは導入してからが勝負――。導入そのものが目的ではないからだ。その効果を最大限にするために現場社員の協力を引き出し、業務を改善していく必要がある。アートネイチャーもCRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)システム「My-Do」を2005年4月に導入以来、3年以上にわたり定着のため現場改善に取り組んできた。「当初はCRMとしての本来の機能が発揮できなかった」と語るのは同社のCIO(最高情報責任者)の役割を担う、執行役員の村田勝也情報システム部長だ。

 オーダーメードのかつらの販売過程は、電話や電子メールによる問い合わせ対応、来店した最初の接客から試着、契約、そして商品の形取りや納品、その後のメンテナンスいう流れになる。システム導入前は、それぞれのプロセスの担当者が顧客情報を紙で管理していた。これでは、成約に至らなかった場合、どのプロセスのどこに問題があるかが把握できない。My-Doでは、営業ステップを11段階に細分化し定義し直し、進ちょくをシステム上で管理することにした。11のステップは優秀なカウンセラーらに綿密に聞き取りをして定めた。

 しかし、My-Doへの入力は現場にとって手間もかかる。長年の業務フローを変え、新システムを使いこなすには時間がかかった。村田部長らは全国の営業担当者の会議を回り、現場の声を拾い集めてシステムの改善に取り組んできた。「最近になって予約状況なども本社で見られるようになり、リピート率なども分かるようになってきた」と手応えを口にする。

 村田部長は大阪にあった販社に入社して以来、一貫して経理、システム畑を歩み、店舗向けの管理システムの構築などを手掛けてきた。情報システム部長の座に就いたのは2006年3月。2007年にジャスダック証券取引所に株式上場を果たしたアートネイチャーのIT戦略を統べる立場にある。「お客様の気持ちをつかもうと頑張る現場をシステム面でサポートしていきたい」と話す。

Profile of CIO

◆経営トップとのコミュニケーションで大事にしていること
・大きなプロジェクトに関しては毎週進ちょくを報告しています。システム開発は営業や生産ほどのスピードで進みませんが、問題点などはそのつど話し合っています

◆ITベンダーに対して強く要望したいこと、IT業界への不満など
・提案が面白ければ当社との取り引き実績にかかわらず話を聞くようにしています。CRMシステムの「My-Do」は、日本IBMからの飛び込みに近い提案がきっかけでした。紙の文化から抜け出してワークフローを構築したいと思っていたところでタイミングも良かったです

◆普段読んでいる新聞・雑誌
・日本経済新聞
・毎日新聞
・日経コンピュータ
・日経コミュニケーション

◆最近読んだお薦めの本
・『とことんやれば、必ずできる』(原田永幸著、かんき出版)

・『椅子とパソコンをなくせば会社は伸びる!』(酒巻久、祥伝社)

◆情報収集のために参加している勉強会やセミナー、学会など
・ベンダーのユーザー交流会など。ある経営フォーラムで同じグループになった仲間とは定期的に集まり、情報交換をするようになっています

◆ストレス解消法
・スポーツジムでエクササイズや散歩、映画や音楽鑑賞などです