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待ったなし!工事進行基準の現場対策

日経SYSTEMS

[必須の基本知識]合理的に算出すべき二つの値

2009/03/24
中山 秀夫=日経SYSTEMS
出典:日経SYSTEMS 2009年2月号  pp.39-40
(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)

 工事進行基準を理解するには,これまでほとんどのシステム開発プロジェクトで適用されてきた「工事完成基準」という会計ルールと比較すると分かりやすい(図1)。

図1●工事進行基準ではプロジェクトの進捗率算出が鍵に
工事進行基準では,プロジェクトの進捗率に応じた売上,実際に発生した原価を分割計上していく。四半期ごとの売上は,総売上見通し(契約金額)に進捗率を掛けて算出するので,進捗率に合理性と信頼性が求められる
[画像のクリックで拡大表示]

 工事完成基準では,プロジェクトが完了したときに,そのプロジェクトの売上のすべてを一括計上し,原価注3,利益とともに財務諸表に反映させる。プロジェクトによっては完了できるかどうか分からない(つまり最終的に売上が立たない)ケースもあるので,売上の確実性が高まってから計上することは,工事完成基準の大きな利点の一つである。その半面,工事完成基準では,プロジェクトが完了するまで財務諸表に売上も利益も反映されないので,1〜2年というように長期間続く大型プロジェクトの状況が株主にとって分からないという問題が生じる。

 一方,工事進行基準では,プロジェクトの進捗率に応じて,売上を決算期ごとに分割計上していく。例えば四半期にプロジェクトが30%進捗した場合,契約金額の30%分の売上を計上する。同時に,実際に発生した原価も計上するので,売上から原価を差し引いた損益が財務諸表に反映される。そのため工事進行基準のほうが工事完成基準より,株主はタイムリーな財務情報を得られる。

 ただし工事進行基準にも,問題がある。それは,恣意性(しいせい)が入りやすいことだ。そもそもプロジェクトの進捗率は,客観的に計測するのが難しい。企業がこのことを悪用し実態より進捗率を高く計測すれば,それだけ売上(および利益)を前倒しで計上できる。

 この問題があるので,プロジェクトの進捗率の計測には,第三者がチェックできる合理性と信頼性が求められる。具体的な進捗率の計測方法は,大きく「原価比例法」と「EVM(Earned Value Management)」注4の二つがある。多くの企業が採用を見込んでいるのは,前者の原価比例法であり,進捗率は次の式で算出する。

 ここで「実際原価」とは,実際に発生した労務費や外注費などの費用。「総原価見通し」とは,プロジェクトの完了までに発生すると見込まれる費用の総額である。工事進行基準を適用する上で企業と現場には,この実際原価と総原価見通しという二つの数値を,第三者がチェックできるように合理性と信頼性を持って算出することが求められる。この観点で,前述した三つの場面ごとに,企業として必要になる仕組みと現場の対策を見ていく。

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